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西洋医学の真実 ~ほとんどの健診&検診は無駄である(後)~

 

医療ジャーナリストの富家孝氏はストレートに言う。「医療関係者の生活を維持するためには、病人や病気が減っては都合が悪い。医者にとって、患者は『生かさず、殺さず』がベスト」なのである。


 

医学博士で新渡戸文化学園大学学長でもある中原英臣氏は、「いまや人間ドックを含め検診は病院にとって重要な収入源。検診自体による収入があるばかりでなく、検診で発見した病気を治す過程でまた儲かるという一石二鳥の構造がある。しかし、それが行き過ぎると、些細な異常所見を強調して病気や病人をつくりだすことにもなってしまう」と警鐘を鳴らす。私は先日、ある学会後の飲み会で、「ドックや検診なんて釣り堀みたいなものだ」などと言いながら笑っている医者たちに出くわした。
 
ニュースキャスターだった山川千秋さんや逸見政孝さんのケースを取り上げて、わが国のがん治療に一石を投じた慶應義塾大学医学部講師の近藤誠氏は、著書のなかで、「集団健診は、過去何十年にもわたって毎年数千万人が受けていても、それで健康になったり、寿命が延びたりしたというデータ的根拠はない。むしろ、病気や異常を告げられることで体調不調になる人が増加しているのが実態であり、廃止すべき」と記している。無意味な健診や検診で多額の税金が無駄に使われているというのは、どうやら真実のように思えてくる。
 
ところで、探してみて驚いたのだが、検診の有効性について否定する公的なレポートすら存在するのだ。1998年、公衆衛生審議会が、「子宮体がん、肺がん、乳がんは、現在の検診では実施してもなくても、がんの発見率は変わらない」と報告しているし、過去の新聞記事を拾ってみると、「大腸がん検診の有効性の評価を行う厚生労働省の研究班(主任研究者=祖父江友孝研究部長)は、集団検診での内視鏡・エックス線検査や直腸指診に否定的な見解を示し、自治体が実施する集団検診や職場検診など集団対象には奨められない」(2005年3月23日の朝日新聞)とある。むしろ内視鏡やⅩ線による検診には、一定割合での事故リスクすらあるのである。 


 

しかしながら、いまも自治体や職場での集団検診には必ずといってエックス線での検査があるのはどうしたことか。厚労省が否定的な見解を示したものを職場や市の広報で推奨しているというのは実に不可解なことではないか。

まずは、特定健診をはじめとする無駄な定期健診&検診は即刻止めて、検診に使っていた税金の使途をもっと国民の健康に役立つ方向に充当すべきである。例えば、現代人が抱えているストレスや運動不足を解消する具体的な方法や、体内に取り込むと病気を誘発する有害な化学物質などの情報を収集し、テレビの人気番組や自治体の広報誌やケーブルテレビを利用して伝えたり、食品添加物や合成洗剤等を使わない生活への改善を促す対策を立て、市町村や学校単位で指導したりする方がよほど医療費抑制につながるはずだ。定期検診を受けるよりはるかに効果的。検診や治療よりも病気にならないようにする予防にこそ限りある資源をあてがうべきだ。 (続く)

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