【女性自身3/30号より】がん治療について

がん名医が末期がんに…それでも「治療しない」と語る理由

「誰にも言っていませんが、余命は1年もないでしょう」と自らの余命を語るのは、神戸市「新須磨リハビリテーション病院」院長の神代尚芳医師(67)。これまで約200人のがん患者を看取ってきたという神代医師。そんな彼が今、末期の肺がんに侵されているという。

がんが見つかったのは、昨年5月のこと。手術は、親友の医師により7月に行われた。だが現在、神代医師は抗癌剤や放射線治療などの治療を行なっていないという。「『大細胞型』のがんは抗がん剤が効きにくく、放射線治療も効果がないんです。だから、もう対応のしようがない。飲んでいるのも胃腸薬ぐらいです。もちろん、自分がこれまで患者に言ってきたことと違うことをするわけにはいかないという思いもあります」

これまで彼は患者への治療を必要最小限にとどめてきた。それは延命ではなく“自分らしい人生”を送ることに重点を置いた治療だった。神代医師によると、今の医療はやるべき治療を行なっていない一方で、やり過ぎだと思うことも多いという。「もちろん何でも放置すればいいというわけではないですよ。でも手遅れなのに手術を重ね、辛い治療を続けることで“最期の時間”を犠牲にしている人も多いんです」

そんな彼が20年間に渡り提唱してきたのが『完成期医療福祉』という考え方だ。「『死ぬことはこの世から消えてしまうこと』だと考えると耐えられないほど恐ろしい。でも『死は人生を完成させるもの』と思えば、怖くなくなる。つまり充実した最期をもって人生を完成させるということです。そのためには、管理された病院で死ぬのではなく、自宅などの自由でいられる場所で最期をすごす必要があるんです」

患者のために人生を捧げてきた神代医師の考える“人生の完成”。それは、独居老人が自宅に戻って充実した最期を迎えるにはどうすればいいのか。どんなサポートが必要なのかという答えを見つけることだった。「幸か不幸か、私はがんになりました。だから自らが実験台となり、それらを見極めたいと思うようになりました」

しかし、今年2月に脳への転移が発覚。“独居闘病生活”の試みは、断念せざるをえなくなったという。理想と現実の間で揺れ動く神代医師は、しみじみとこう語る。「今回、私は2度の手術をしましたが、これでよかったのかなと思うこともあります。でもそれは最期にならないと誰にもわかりません。医者といっても神や仏じゃなく、人間ですから。何がよかったかなんて最期までわからない。そんなもんです」

そんな神代医師を支えているのは、家族の存在だ。妻の実津子さん(58)がこう振り返る。「今回の独居をいちばん反対したのは、27歳になるひとり娘でした。『なんで最期なのにパパと一緒にいられないの!最期はパパと一緒にいたい』と強く反対したんです。主人は子煩悩でしたからね。その言葉も心に響いたようです」

夫を元気づけようと、実津子さんは日本舞踏の仕事を辞め、夫の介護に専念することを決意。神代医師はいま、妻の作ってくれる手料理を何よりの楽しみにしているという。実津子が続ける。「普段は毎日料理をつくるのなんて疲れると思うはずですけど、今は不思議と楽しいんです。体調がいいときは一緒にお酒も飲んだりするんですよ。もちろん、ほんの少しですけど(笑)。こんな生活は、病院だとできないでしょうね」

神代医師は『いざとなっても救急車を呼ぶな』と実津子さんに言い聞かせているという。実津子さんは、笑顔でこう語る。「実は24時間ずっと主人が家にいる生活なんて、結婚して30年で初めてのことなんです。がんになったのは残念ですが、その反面、いま初めて主人がいつも家にいる。娘にすれば『パパがいる』生活なんです。きっと神様が最期に幸せな時間を与えてくださったんじゃないでしょうか。そう思うようにしています」

医療と宗教の連携

こんにちは、アンクルジャムです。

今日は、陰暦の2月15日に当たります。平安時代末期の歌人西行の命日です。たしか・・・。
『願わくは花の下にて春死なん その如月の暁のころ』
こんな気持ち、私も最近はよぉくわかるようになりました。
とくに散り際の桜吹雪なんて泣けてきちゃいますね・・・。しみじみ(笑)。いや、笑えないか・・・。

さて、最近はちょっと事情があって『生と死』についていろいろと調べています。で、4月以降の活動テーマを見つけました。寺社会の復活です・・・。

がんに代表されるように、現代の病気においては、人間の四苦とされる「生老病死」の『病』の部分が長期化する傾向にあります。要は、患者が何年もかけて死に向かっていくという特徴があるわけです。病床であれこれと考える時間があると、「死」というものに対する恐怖や不安から患者さんたちにはさまざまな葛藤が生じ、場合によっては人格にまで支障を及ぼすこともままあります。

となると、この死へ向かう過程での然るべきケアが必要となってくるはずです。残された人生の価値やQOLをいかに高め、いかに穏やかかつ幸せに死へ誘っていくのか。これもターミナルケアの一環であり、医学の務めなのではないかと、はじめは考えました。

でも、いろいろと調べるうちに、ここはひとつ宗教家の人たちに期待してみたくなってきました。日本の医療はそもそもが寺院で行われていたという史実があります。日本で最初の国立寺院「四天王寺」には、敷地内に病医院、施設、薬局、学校があったことを改めて思い出しました。

人間が死と向き合いそれを受容していくことは、かなり精神性の高い作業だと思います。近代西洋医学の産物である医学の世界の人だけでは、どうも心もとなく思えるのです。アメリカの病院では牧師さんが余命少ない患者さんやご家族のためにスピリチュアルケアを提供しているそうです。

日本で言うならば、お坊さんたちが思い浮かんできます。明治以降、日常生活から切り離されてしまった感がある仏教ですが、今日でも日本の葬儀の9割以上は仏式なのです。死を目前に控えた患者の内面的な事柄については、やはり宗教家の出番だと思います。

もしかすると、もっと日常的にお坊さんたちに死生観のようなものを説いてもらったらいいのではないでしょうか。地域の人たちが、元気なうちから『生と死』について考える機会をお坊さんたちに提供してもらうのです。

病医院は患者さんが死んだ瞬間から商売にはなりません。お坊さんは、人が生きていたら商売になりません。どうも、「西洋医学は生きてる間だけ、お坊さんは死んでからだけ」というのは、死の準備期間が長い今日においては駄目だと思います。それでは生と死が断絶してしまうのです。実際には、両者はつながったものであるはずです。ここをお坊さんにつないでほしいのです。

原点回帰ではありませんが、お坊さんたちはもっと外に出ていって、『死の教育』を病院や地域に出前してみてはどうでしょうか。あるいは、医療も含めた総合寺院を作って、地域コミュニティの磁場になるというのはどうでしょうか。

こんなことを考えるようになった私は、来月からお寺の住職さんたちと話してみることにしたのです。

良いかかりつけ医の条件とは

こんにちは。ジャムおじさんです。

先日、鎌田寶先生の講演を聴く機会がありました。そのなかで、私たちが好ましい医師を探すときに参考になりそうな部分がありましたのでご紹介しますね。
 
「重篤な病気をした時は専門医ですが、専門医はひとつの限られた知識だけに精通している医師のこと。まずは、日頃から気軽に相談のできる『かかりつけ医』を持つことが自分の健康と命を守ることにつながるのだと思います」という内容でした。
 
続けて、『良いかかりつけ医』の条件として以下の10項目を挙げ、これらのうち3つ以上該当すれば及第点と考えていい…と話していました。
①話をよく聞いてくれる
②わかりやすく説明してくれる
③薬をすぐに出さず、生活の注意をしてくれる
④必要があれば専門医を紹介してくれる
⑤家族の気持ちまで考えてくれる
⑥地域の医療、福祉を熟知していて必要な時は何時でも繋いでくれる
⑦医療の限界を知っている
⑧患者の悲しみ、痛みを理解してくれる
⑨他の医師(セカンドオピニオン)を快く受け入れてくれる
⑩本当のことをショツクなく伝えてくれる
 
3つでいいんですよ、3つ。ずいぶんとハードルが低いと思ってしまうわけですが、それほど世の中には『良い医師』というのが数少ないのだなぁと改めて認識した次第です。
さて、みなさんのご感想は???

米国でがん患者が減った理由は?

こんにちは、アンクル・ジャムです。
今日はニンニクの話です。
私の食のコーチである華野小町女史と会話していると、次から次へと興味深いネタが溢れてきます。で、なぜニンニクかというと・・・。
 
現在、日本では毎年35万人ががんで亡くなっています。一方、がんで命を落とす人が一時は60万人を超えていたアメリカで、過去8年、がん患者が減少しています。昨年の数字では50万人ぐらいになっているようです。この背景を探ってみると、米国政府の『がんの治療から予防へ』という戦略転換に行き着きます。そして、この戦略を実現するための第一戦術が、「がんを予防するために無農薬有機栽培の野菜・果物・穀類を1日600グラム以上食べよう」という国立がんセンターが打ち出したキャンペーンだったのです。
 
華野小町女史によると、このとき具体的な食べ物として筆頭にあげたのがニンニクだったそうです。それも毎日食べたほうがよく、2番目が十字葉野菜。十字葉野菜というのは、ブロッコリーのように茎が十字の形になっている野菜です。キャベツの芯も十字に交差しています。アメリカ国立がんセンターががん予防の指針を具体的に出してから、アメリカのがん療法がガラッと変わったというお話です。
 

この話を聞いて、ジャムおじさんは急に『餃子の王将』に行きたくなりました。ということで、華野小町女史には内緒で生ビールを1杯だけ嗜んできます・・・ネ。

地中海式食事法は脳血管障害も減らす!

こんにちは、ジャムおじさんです。
今日もまた地中海式食事法(以下地中海食)の話です。

華野小町先生からの教えで、地中海食に関する研究報告を拾ってみたら、いろいろと興味深い情報が見つかりました。以下は、昨年4月の米国神経学アカデミーの年次大会で発表された研究論文のサマリーです。

結論から言うと、『地中海食をほとんど行わない群の脳梗塞リスクを1.00とすると、ある程度行う群ではリスクは0.79倍、よく行う群では0.64倍と、著しく低くなる』という報告内容になっています。
 

脳卒中の病歴のない712人の80歳以上の男女を対象にMRIで画像診断を行い、脳梗塞の痕跡を調べました。すると、238人に1つ以上の小さな梗塞の痕がありました。
 
つぎに、日ごろの食習慣を調べ、地中海食を行う度合いを、(1)ほとんど行わない、(2)ある程度行う、(3)よく行う、の3群に分けました。
 
すると、地中海食をほとんど行わない群の脳梗塞リスクを1.00とすると、ある程度行う群ではリスクは0.79倍、よく行う群では0.64倍と、著しく低くなることがわかったのです。
 
もしかすると、認知機能が維持されるという効果は、脳細胞が脳梗塞から保護された結果なのかも知れませんよね。

地中海式食事のすすめ

こんにちは、ジャムおじさんです。

私の親愛なる食改善の師匠、華野小町先生から面白い話を聞きましたのでご紹介します。

みなさんは、『地中海食』って聞いたこと、ありますか?
地中海食はとても健康にいいようで、認知症、うつ病、循環器疾患、乳がんなどのリスクを減らすことが欧米から報告されています。華野小町先生によれば、地中海食とは以下のような食事法だそうです。
 
●果物、野菜、パンや他の穀類、イモ、豆、ナッツ、種をたくさん摂る。
●油はオリーブオイルが鉄則。
●赤身の肉は極力避ける。鶏肉は程々なら可。
●乳製品・魚も程々に。
●卵は週に4個まで。
●ワインは程々なら可。
 
なお、患者満足度世界一とされるメイヨークリニックでも、理想的な食事法として地中海食に近いガイドを出しているそうです。それも加味してまとめると、『果物・野菜・ナッツ・オリーブオイルは多く採り、赤身の肉はほとんど食べない。アルコールは、赤ワインを程々に』ってな感じになるそうです。
 
スペインの研究者らから地中海式食事法とがんの関係についての調べています。ヨーロッパ11カ国にアメリカが加わったとても大きな共同研究だそうです。今回、研究者らはとくに消化器腺がんに注目しています。 

 

まずは、ヨーロッパの10カ国に住む35歳から70歳の485,044人(男性144,577人、女性340,467人)の人を対象に、食生活と生活習慣について調査しました。食生活を地中海食の要素を配慮して点数化し、どれほど地中海食を行っているかを評価しました。 

 

 

 

さいごに

NPOの活動を始めてから、必然的に病医院や医者と接する機会が多くなりました。そのなかで非常に懇意な関係になった医者もかなりの数に上ります。人間的に魅力的な医者もたくさんいます。

しかし、彼らと親しくなるほどに、やはり納得のいかないことが増えていきます。ひとことで言ってしまえば、彼らが自分の家族に対して行う医療と、一般の患者に対して行っている医療は異なる、ということです。

医者も商売ですから、食べていかなければいけません。職員やその家族を養っていかなければなりません。医療財源がままならないわが国の厳しい状況もあり、多くの患者から売上を積み上げなければならない事情もわかります。

だから彼らは、検査や薬を必死で売ろうとするわけですが、そういうことを知らない患者さんは、彼らに言われるままにたくさんの買い物をしてしまうわけです。時に要らないものまで。そして時には有害なものまで。

こういう患者さんは、彼らにとって「良い患者」ということになります。そして、この「良い患者」のトップに君臨するのが後期高齢者と称される80歳以上の人たち。次いで65歳以上の前期高齢者、ということになっています。


つまり、適切な治療を受けるためには、そして、無駄な医療費を払わないで済むようにするためには、患者側も勉強しなければいけないということです。

私ども『二十四の瞳』では、医療をはじめ、介護や葬儀など、シニアが無用な経済的負担を被ることがないように、頻繁に啓発講座を行っています。ひとりでも多くの方に、自身の健康は自身で取り戻すものだということを、あなたのカラダについていちばんよくわかっているのは他ならぬあなた自身なのだということを、しっかりと認識してほしいと思っています。


今回、このプログの内容をまとめた小冊子を、私どもの会員以外の方々にも頒布させていただくことになりました。 もちろん、アマゾンからのご購入も大歓迎です!

老人クラブや町内会等でまとめてご購入いただける場合には、ディスカウントにも対応致します。 ご興味を持っていただけましたなら、下記までお気軽にご一報ください。

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「クールな老後」希望・・・と明記の上、ご連絡先(電話、ファクス、メール等)をご教示願います。

ふだん何気なく利用している医療ですが、その真実は、偶然あなたの前に現れた医者に盲従するだけでは決して知ることはできないものです。この冊子が、あなたのこれからの医療との接し方を再考するきっかけとなれば、こんなに嬉しいことはありません。

平成25年 早春   

NPO二十四の瞳 理事長 山崎 宏

抗がん剤の恐るべき真実(2/2)

前回からの続きで、抗がん剤治療の真実について、です・・・。

さて、今回は、もっとショッキングな事実をお伝えしなければなりません。


仮にある患者さんに対して、抗がん剤が有効だったとしましょう。
問題は、どう有効なのかということです。驚愕の回答はこうでした。

「ある患者さんに対してある抗がん剤が有効であるという場合、『有効』の定義は、もともとのがんの大きさが半分程度に縮んだ状態が四週間続くこと」なのです。

臓器にメスを入れられ、髪の毛が抜けたり、吐き気がしたり、そんなつらい思いをしながらもじっと我慢して抗がん剤を服用し続けている患者さんたちは、果たしてこの真実を聞かされているのでしょうか?

こういうところが日本の医療の、そして日本の医者たちのイヤなところです。インフォームド・コンセントは、一体どうしちゃったんでしょうか?

この真実を知ってから、私は日本の医療や政治や行政に嫌気がさすようになりました。だって患者さんは、この苦しみを乗り越えた向こうには健やかで健康な日々が待っているんだという希望があればこそ、治療に耐えているんですよ。

「10人中2人にしか効かないんですよ」という説明を事前に受けていたとしたら、誰が身体じゅうに不快感をもたらすあんな強い薬を使うものですか!

このことがあってしばらくしてから、別の医者からこんなことを聞きました。
 「うちはがん家系なんですよね。5年前に父が逝ってしまったんですが、年齢的なこともあったし、手術はしませんでした。もちろん放射線も抗がん剤も。ああいうのはまっぴら御免ですから。」
 

私は思った。正直でよろしいと。ならば患者にも正直に振る舞ってくれと。そして、わがNPOの会員のみならず、これを読んでくれたみなさんにも、とにかく声を大にして言いたい。
 
★もしも運悪くがんが見つかったとしても、慌てて治療法を決めないこと。
★ひとりでも多くの医者に、「あなたの家族がこの状態だったらどうするか」について見解を聞くこと。
★可能な限り手術はしない道を考えること。
★どうしても手術ということになってしまったら、『手術成功』の定義、術後の治療法、退院後の生活イメージを詳細かつ具体的に納得できるまで聞き出すこと。
★そのうえで自分自身で治療法を選択すること

・・・です。


とにかく、抗がん剤は2割しか効かないのです。効きもしない強い薬で最悪の予後を過ごした挙句に再発してしまう可能性があるという真実を、是非とも頭のどこかに入れておいていただきたい。

そして、ご自身や愛するご家族を自ら護っていくんだという意識と、そのための勉強を心がけていただきたいと、心の底から強く強く希望しております。

 
一事が万事。クールな老後を目指すあなたのために、今日も私どもNPO『二十四の瞳』は真実を伝えて参ります。

知らなきゃ怖い真実を、知らなきゃ損する、超高齢王国ニッポンの真実を。
 

抗がん剤の恐るべき真実(1/2)

さて今回は、毎年非常にお問合せの多い、がんの三大療法のひとつ、抗がん剤について驚愕の真実をご紹介しておきましょう。


私が医療の世界に関わるようになって、今年で11年目に入りました。時には医療を提供する病医院の側から、時には医療を利用する患者側から、またある時は、医療と連携する介護の世界から、さらにある時は、医療経営専門誌というメディアの世界から、多くの病医院や医者たちと接点を持ってきました。

当初は、本当に医療界とは摩訶不思議なところだと、つくづく感じたものでした。しかし、この10年で、かなりのことは理解できるようになりました。が・・・、それでも時には、「ゲゲッ、そんなことってあるか!」というような、一般社会では非常識と思われるようなことに出くわすことがあります。

ほんの3年くらい前のことです。コンサルティングの仕事をいただいた病院の外科医と仲良くなる機会があり、たまにふたりでお酒を飲みに出かけるような関係になりました。そこで私は、以前から不思議に思っていたことを彼にぶつけてみたのです。

それはがんの手術について。当時(正直に言えば、今も)感覚的に思っていたのは、がんが発見されて摘出手術に成功した患者さんのほとんどが、数年以内に再発または転移が見つかり結果的に死んでいく・・・ということでした。がんで家族を失ったご家族に話を聞くと、かなりの確率でこんな話が出てくるのです。

「手術は成功。目に見える限りのがんはきれいに取った。抗がん剤で再発を抑えれば問題ない。そう言われて、副作用に苦しみながらも治療を続けてきた。にもかかわらず、数年後に転移が見つかって他界した」。
 

この話をしたとき、彼が何気なく口にした衝撃的な言葉に私は絶句しました。

「開腹してみて目に見えるがんは全部取るだろうけど、目に見えないがんは取れませんからねぇ。どうしたって残ってしまうんじゃないかなぁ。」

まぁ、これはもっともな話なのかも知れません。だから、目には見えない転移を配慮して可能な限り広範囲を切除する慣習があるのだと思います。ただし、現在では、患者さんの負担を軽減すべく極力メスを入れる範囲を小さく抑えようという流れになりつつあります。

さらに、彼は続けてこう言ったのです。
 「それに、抗がん剤の有効率は、そこそこ2割程度でしかないから・・・」

問題はこの台詞です。私は口に含んだ日本酒を噴き出しそうになりました。以下はそのときのやりとりです。
 
「8割は効くってことですよねぇ?」
 「いや逆。8割は効かないんですよね。」
 「でも、たったの2割効く程度では有効とは言えないじゃないですか!」
 「そぉなんですよねぇ。」
 「・・・(まさか、そんなバカな)・・・」

翌日、朝一番から私は調べました。最終的には厚労省に電話までしてね。
その結果わかったのは、『わが国の抗がん剤の認可基準は、有効率20%以上』ということでした。

ある医者がある抗がん剤を10人の患者に投与したとしましょう。そのとき、2人に有効性が認められれば認可してあげましょう。他の8人には効かなくてもまぁ仕方がないでしょう・・・。

これが日本の医療の、抗がん剤治療の真実なのです。(続く)

朝まで待てないシニアたち

質問: 

高血糖で、地元の診療所に3年通院していますが、症状に改善が見られません。他の病院に変えようと思っています。今の先生に何と言ったらいいでしょうか?(70代女性)

回答:
病医院を変わるのに、いちいちそれまで通っていた医者に断る必要はありません。どこの病医院にかかろうと、すべて患者側の自由です。3年も通った挙句、症状は治らない。この期に及んでまだ医者に気を遣う・・・。いいかげんに目を覚ましてください! 

で、ここでは、彼女が土曜日の深夜2時すぎに電話をしてきたことを考えてみましょう。


この女性は、この問題で夜も眠れないくらいに悩んだ挙句、あちこち情報を探しに探して電話してきたのです。このことは、2つの視点から考える必要がありそうです。

まず、質問内容自体は週明けまで待っても支障はなさそうだということ。にもかかわらず、土曜深夜に電話をしてきた理由は、高齢者の場合、ほんの些細な不安でも、気にしだしたら夜も眠れないといった方が多いということです。ですが、自治体の相談窓口は平日の9時5時です。そんなとき、悶々としたまま月曜の朝を待つことなく、気軽に相談できる環境が整っていれば安心にちがいありません。

次に、これが仮に平日であったら、果たして彼女は自治体や病院に電話をしただろうかという点です。例えばあなたなら、ちょっと気になることがあるからといって、医師会や保健所、あるいは市役所や社会福祉協議会等の公的機関に出向いていきますか?

「相談して小難しい説明をされたり、たらい回しにされたりしないだろうか。まぁいい、面倒だからがまんしよう」。実際にはそんな行動パターンが多いのです。

高齢者にとっては、思い立ったときに気軽に相談できる環境が必要なのです。そんな思いからNPO「二十四の瞳」は、年中無休体制で対応しているのです。 

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