何年医師通いしても良くならないアナタに捧ぐ
私は外来で患者さんと相談する時、「必ず治りますよ」とは絶対に言いません。そういう医師もいるかもしれませんが、そんなことを言えるはずもありません。私の説明を十分に理解していただいて、「それであれば希望を持って代替医療でやってみたい」とおっしゃる患者さんにはできるだけのサポートをします。
これまでの経験からして、少なくとも、西洋医学での治療と比べて延命できる確率は高いと思います。QOLも良くなる確率が高いです。うまくいけば治ってしまう可能性もあります。そうした実績があります。
ですが、目の前にいらっしゃる患者さんがどうなるかは断言できません。あくまでも確率や可能性といったことであって、例えばがんの進行が止まるなどという保証をすることはできません。このあたりをご理解いただけないと後にトラブルになる可能性があります。良い結果が出なかった場合に、患者さん側も騙されたということになってしまいますから。
これからは、患者さんが西洋医学も東洋医学もよく理解して治療法を選ぶ時代だと思います。そして、もしも東洋医学を選ぶということであれば、患者さんが主体的にそれに取り組む姿勢が不可欠です。ですから当然、自らが選択した治療法について、ある程度、理解していただくことが必要になってきます。
これまでは、たまたま出会った医師に全部任せていればいいだろうという時代だったかも知れません。でもこれからは、患者さん自身が積極的に勉強して最低限の知識を身につけ、納得して医療を選ぶという時代なのです。まさに患者さん参加型の医療です。それができないという人には東洋医学は向かないと思います。
それから、たまにあるのですが、この漢方薬さえ飲めば病気が簡単に消えると思っている人も困ります。お話してみて、ああ、この人は東洋医学を全然わかっていないなという人はお断りしています。代替医療とか統合医療とかいう言葉が、いくらマスコミで取り上げられるようになったとしても、まだまだ理解していただけない人たちも大勢いると思います。いつの時代にも誤解はあるだろうなとも思います。
かつては米国でも、「代替療法なんてインチキなものをやっているのは、どうせ学歴の低い知性の乏しい連中だろう」などと思われていた時代がありました。ところが実際には、蓋を開けてみたら逆だったわけですが。ある程度インテリジェンスの高い人たちが主体的に代替療法を選んでいるということが分かったのです。
私たち人間は、生きていれば必ず病気になるものです。もし読者のみなさんが病気になったとしたら、症状を改善し、健康を回復するためにはどうすべきかを決めなければなりません。そして、それを決めるのは自分の責任だということをご理解いただきたいのです。
その責任を回避してしまうと、みなさんの代わりに誰かが決めることになります。多くの場合は、たまたま何かのきっかけで出会うことになった医師ということになると思います。しかし、医師に診てもらうことが、みなさんにとって必ずしも最良の選択になるとは限りません。どうしてもこのことをお伝えしたくてこの本を書くことにしました。みなさんがいざという時に判断を誤らずに済むように、現代の医療の中心に据えられている西洋医学とは、何が得意で、何が不得手なのかを知っていただくことが、まずは適切な治療法を手にするための第一歩だと考えております。
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