NPO法人 二十四の瞳
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社会福祉士が活躍すべきポジション

話が逸れましたが、合格した私は、夢と希望に満ち満ちてライセンスを定期入れに入れて街を颯爽と歩きました。ところが、いざフタを開けてみると、いい意味でも悪い意味でも、世間の注目を集めたのは介護支援専門員(通称、ケアマネジャー)なる都道府県の認定資格者たちでした。社会福祉士はと言えば、特定の医療機関や福祉施設で黙々とルーティンワークを続けているか、自治体職員の天下り先である社会福祉協議会で、ひたすら杓子定規なオペレーションを几帳面に反復しているかで、地域高齢社会の救世主になり損ねた感がありました。スクーリングで出会った仲間が勤務する病院を訪ねたとき、合格して社会福祉士となった彼が、中年の看護師にギャアギャア言われながらあごで使われているのを見たときのショックは、いまも忘れることができません。“福祉界の最高峰”を舐めてんのか!と思ったものです(笑)。
 
私は、社会福祉士がなかなか日の目を見ない理由を考えるようになりました。おそらく、その最大の理由は、前述の医師・弁護士・教師などと違ってサービス対象が見えづらいことではないでしょうか。医師には患者が、弁護士には依頼人が、教師には生徒がいますが、社会福祉士には何がいるのだろうかと考え込んでしまいます。福祉の世界を見れば、要介護者にはケアマネジャーがいます。障害者には自治体の障害福祉課の職員が、生活保護者には民生委員がいます。しかし社会福祉士のカウンターパートは実に曖昧なのです。社会福祉士のなかには、ホームレスなどの路上生活者や親から虐待を受けた児童を対象にさまざまな支援活動を行っている方もいます。ですが、一方では地域の介護職や医療職等からの相談を受けるなど多岐に渡っているため、逆に世間からは認知されにくいということはないでしょうか。要はそのサービスモデルが、B to C と言い切れないところがあるのです。
 
それでは、ここでちょっと思い出してもらいたいことがあります。みなさんは、社会福祉士を目指したとき、何をしたくてあの難解な国家試験をクリアせんと多大な時間と労力と情熱を注いできたのでしょうか。ちょっと照れくさいですが、私の場合は、運悪く社会的弱者となってしまった人たちが、少しでも健やかで幸せな日々を過ごしてもらえるように、必要な社会資源を確保して提供してあげたいという理想を掲げていたものです。縦割り行政のわが国では、とくに高齢者が保健・医療・福祉等のサービスを必要時に必要なだけ確保することが困難であることを、自分の両親のケースで痛いほどよく知っていたからです。
 
役所の各窓口はバラバラだし、医師も弁護士も自分の専門外についてはコーディネートなんてしてくれやしません。要するに、問題を抱えている利用者側があちこち回って個別折衝をしなければならないのが日本という国なのです。だから、これを変えたいと思ったのです。社会福祉士になって、自分が窓口となって、相談者に必要な社会資源またはサービスを取り揃えて差し上げようと思ったのです。ひとことで言うならば、高齢者等が穏やかな毎日を過ごすために必要なモノをオーダーする「ワンストップショッピングカウンター」になろうと考えたのです。

続く

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