NPO法人 二十四の瞳
医療、介護、福祉のことを社会福祉士に相談できるNPO「二十四の瞳」
(正式名称:市民のための医療と福祉の情報公開を推進する会)
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福祉界の最高峰「社会福祉士」の地位向上のために

今春、社会福祉士の国家試験に合格されたみなさん。
心から祝福させていただきます。

今回より、志高く若くて有能なみなさんに、社会福祉士が『お金をかけずに短期間で地域の救世主となる方法』をお届けします・・・。

日本の全世帯数約5,000万のうち、「高齢者のみ世帯」(世帯主年齢が65歳以上の世帯でかつ「単独または夫婦のみの世帯」)は1,000万。割合にして20%です。この割合はどんどん増え続け、20年後の2030年には30%にもおよぶ勢いです。(『日本の世帯数の将来推計』(国立社会保障・人口問題研究所、2009年12月推計)の数字)。興味深いのは、2030年には全ての都道府県で20%を超えるという点です。東京も含めて、20年後には4世帯に1世帯、多いところでは3世帯に1世帯が「高齢者のみ世帯」になるというわけです。
 
私の両親も「高齢者のみ世帯」ですが、「高齢者のみ世帯」の暮らしには、浜辺に寄せる波のごとく、日々さまざまな問題が生じるものです。今日でも既に社会問題化している老老介護、熟年心中、孤独死などはその象徴的な問題と言えます。また、介護施設への入所を考えてみても、そもそも施設数が絶対的に不足していて3年以上待たされるのが当たり前。かと言って一般の有料老人ホームは高額で、ごくわずかな富裕層でなければ費用が払えないというのが現実です。

数年前までは病院に社会的入院と呼ばれる患者さんがいっぱいいました。もう医学的処置は必要なくなったにもかかわらず、諸々の事情で退院しても行き場がない高齢者たちがそのまま長期間入院生活を続けていたのです。しかしながら、病院を取り巻く経営環境が変わり、病院は極力短期間で高齢者を退院させなくては経営的に覚束なくなりました。ベッドを回転させることが病院の重要な経営指標となったからです。

 
「高齢者のみ世帯」が安心・安全・快適に暮らしていくための最重要インフラは、①在宅医療(定期的な往診)②在宅医療の後方支援基地(休日夜間および緊急時の受入れ病院)③24時間医療介護付きの賃貸集合住宅 だと言われています。政治と行政がやることなので遅々として進まないもどかしさはありますが、方向性はまちがっていません。

ですが、この3つよりも前に、もっと必要なことがあります。それは、「高齢者のみ世帯」が何かしら不安を感じたときに、気軽に相談できる窓口または相手です。残念なことですが、いまの地域社会にはこれが決定的に欠けているのです。自治体の窓口は、平日の9時5時しか対応してくれないだけでなく、お役所の悪しき慣習である縦割り行政の結果、高齢者が相談に出向いてもあちこちの窓口で個別折衝しなければなりません。50歳の私でさえもイライラすることがあります。また、担当者によっては、まだまだ相手の立場を尊重する姿勢が不足していることも問題でしょう。要介護の認定を受ければケアマネジャーという福祉専門職が相談相手になってくれるかも知れません。一人暮らしで障害を抱えている人や生活保護を受けている人などには、民生委員と呼ばれる福祉相談員や自治体の職員が定期的に安否確認などに出向いてくれます。緊急連絡用の電話を貸し出してくれる地域もあります。

しかし、もっとも数の多い“ふつうの高齢者のみ世帯”は、万一のときに頼れる存在がいないのです。お子さん世帯が近くにあれば別ですが、そうでない限り、何かあったときにコンタクトできるのが110番と119番だけというのは心もとない気がします。お隣の韓国では『ダイヤル129』というインフラがあって、いつでもなんでも話を聞いてもらえるシステムが機能しています。その電話だけで問題解決に至るかどうかは別にして、不安が頭をよぎったときに24時間相談ができて、解決の糸口や然るべきコンタクト先を教えてもらうだけでも、落ち着いた気分でその夜を過ごすことができるはずです。これがいまの日本の地域高齢社会にもっとも欠けている機能だと思います。

そこで、高齢者たちのナマの声を聞きながらスタートしたのが『NPO二十四の瞳』(http://24eyes.wilbo.jp/)なのです。私たちは、会員世帯に対して、①24時間365日のお困りごと相談 ②医療や福祉等をテーマとする啓発講座 ③地域の医療・福祉サービスの実態情報 を提供しています。そして、全国各地の若くて有能な社会福祉士のみなさんに働きかけて、この活動をすこしずつ横展開していきたいと考えています。私は、すべての国家資格のなかで、超高齢社会には不可欠なこの意義あるミッションを遂行できるのは社会福祉士だけだと思っています。

続く

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