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相続:『小規模宅地特例&特定居住用宅地特例』のまとめ

【トレンド】
最近、資産家の人たちが、自宅の評価額が高くて相続税が払えずに全部もしくは一部を売却せざるを得ないケースが増えている。対策のひとつとして、評価額を低くすることのできる特例の申請・適用を考えておきたい。

この特例では、亡くなった人が自宅として使用していた土地については、200平方メートルまでの部分について50パーセントの評価(小規模宅地等の特例)に、さらに、その土地を同居の相続人がそのまま相続して住み続けていれば、240平方メートルまでの部分については20パーセントの評価(特定居住用宅地等の特例)になる。この特例を使うことは非常にメリットが高い。財産分割においては、なるべくこの特例が使えるように配慮したい。


ところが、平成22年度改正によって、平成22年4月1日以後の相続では、この子どもが独立して自分の持ち家に住んでいるような場合には、自宅敷地のうち、この子どもが相続した部分に特例が使えなくなった(妻が相続した部分には特例適用可)。

仮に、亡くなった夫の遺産がこの自宅敷地(特例を使う前の評価額は1億円)と、その他財産2億円の合計3億円として、自宅敷地は最初の設定どおり、妻と子どもが1/2ずつ、その他財産は、配偶者の税額軽減(配偶者がもらった一定の金額までの財産については相続税がかからないというもの)を最大限適用できるように相続したとすると、平成22年3月31日までの相続なら、相続税は約845万円。平成22年4月1日以後の相続なら、約1654万円と、倍近くに税額が跳ね上がる計算になる。
この改定内容をキチンと理解できていない相談者が非常に多い。

【ポイント】
●基本的に、相続税は増税路線であることは明らか。このトレンドを知って、元気なうちから家族で対策を講じておくべし。
●東日本大震災に配慮してH24年度の実施は見送られたものの、基礎控除額の改定は目前に迫っていると認識すべし。現行法上では「基礎控除5000万円+1000万円×法定相続人数」は無税。ところが改正後は、非課税範囲が「基礎控除3000万円+600万円×法定相続人数」と大幅に縮小される。
●特定居住用宅地等の特例を受けるためには、「被相続人と一緒に暮らしていた」とか「住民票上の住所が同一」とかではなく、『生計を共にしていた(被相続人を扶養していた)』ことが必要。親の最期が近そうだからといって、慌てて引っ越してくりゃいいってものではない。
●親も子も、相続の可能性のある資産について情報共有し、合理的な承継の方法を協議できるような良好な関係を日常的に作っておきたいもの。

以上

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