NPO法人 二十四の瞳
医療、介護、福祉のことを社会福祉士に相談できるNPO「二十四の瞳」
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私が社会福祉士を目指した極めて不純な動機

私が医療と福祉の世界に入って12年が過ぎました。
私が福祉の世界に関心を持ったのはまさに20世紀末。
ちょうど介護保険制度がスタートする直前のことでした。
私はこの年限りで、社会人になって最初に勤務したIBMという外資系コンピューターメーカーを辞めようと決めていました。
そして、次の進路をどうすべきかを考え、様々な業界の動向を自分なりに調べることに時間を割いていました。
 
当時は既にバブルも弾け、景気は安定的に(?)停滞していた時代。
失われた20年・・・なんて言葉が生まれる予兆のような時期でした。
そんな中、日経の業界動向予測における数少ない成長分野が「IT・環境・福祉」でした。
それから1年余りでITバブルも弾けてしまうので、実際には環境ビジネスか介護ビジネスしかなかったと言えるでしょう。
で、私はハードルが低そうな福祉を選ぶことにしたのです。
福祉にも、大きく「高齢者」と「障害者」があったのですが、市場の大きさから前者に決めました。
同時に、各業界のトップ企業のホームページを徹底的に読み漁ってみると・・・。
そこには、宝の山を探し当てんとする鼻息の荒いフレーズが賑わっていました。
「少子高齢化による市場構造の変化」とか「地域高齢社会への貢献」とか・・・。
大手総合商社までもが医療福祉分野に戦略投資をするようなことが記されているのを見て、『進むべきはヘルスケア』という基本方針を固めたのを覚えています。
 
幸い学生時代の仲間に医者がかなりいたので、何人かに会って話してみると、話題は専ら「介護保険」のこと。
彼らも医療保険に続いて約40年ぶりに創設される国民皆保険制度について情報武装しなければならないことが判りました。
当時38歳であった私は、医者になるために必要なコスト・時間・労力を知るに及び、あっさりと断念。
ならば福祉は?ということで早速本屋で立ち読みしてみると、『社会福祉士』という、当時の私には得体の知れない資格に出くわしたというわけです。

「医療界のトップが医師ならば、福祉界のトップは社会福祉士」と、ある参考書には記載されていました。
そこには、医師が実際には一職人であるのに対して、社会福祉士は、「わが国の縦割り行政の結果もたらされた、利用者にとって使い勝手の悪い保健・医療・福祉を有機的に結びつけて・・・」等というきわめて次元の高い資格であるようなことも書かれていたのです。

その物凄い国家資格を、大学時代に福祉の「ふ」の字も学んでいない私であっても通信教育で2年もあれば取得できると知りました。
仮に医学部に入っても最低でも6年間は拘束されるわけですし、医者という職業がこの先ジリ貧になっていくことも予見されました。
そして、その時点ではまだ介護保険なるものを熟知できていない医者たちに対して、うまくすれば指導する側に立てるかもしれないという願望が芽生えていったのです。

こんな経緯で、当時は一大ブームであった介護保険で一攫千金を夢見た私は、実に不純な動機で社会福祉士の国家試験を受験するための準備に取りかかったのです。

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