NPO法人 二十四の瞳
医療、介護、福祉のことを社会福祉士に相談できるNPO「二十四の瞳」
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このブログを始めたワケ

    私は、医師の仕事はただただ患者さんを治すことだと思っています。そのためには西洋医学だの東洋医学だのという枠は取り払って、目の前の患者さんにとって本当に効果があると判断したものを治療に取り入れていくのが医師の務めだと思うのです。だから、今回この本を書くことにしたのです。たまたま西洋医学と東洋医学を学んだ結果として、双方の長所短所や強み弱みといったものがわかってきたからです。

 ひとりひとりの患者さんが抱えている病気は、同じものなどふたつとありません。たとえ病名が同じでも、その患者さんが何十年も人生を生きてきたなかで現れてきた症状である以上、原因は異なるはずです。ならば、その患者さんが辿ってきた道のどこに根源的な原因があるのか。それを患者さんとじっくりとお話しながら見極めたうえで、それを取り除いていくための治療法を検討していきます。ある意味では、完全オーダーメイドの医療ということができるでしょう。

 今日では、巷の多くの病医院の診察室で、医師たちが患者さんの訴える症状を、ただそれだけを解消するために薬を処方するといった光景が一般化しています。これを対症療法と言います。しかし、本当にその患者さんの健康を真剣に考えるのであれば、その症状をもたらした行動を突き止める必要があるはずです。さらに、患者さんはなぜそのような問題行動を取るようになってしまったのかといった生活背景までを追求していく姿勢が求められます。生活習慣病への対処というのはそういうものです。

 東大の名誉教授で、多くの著作もある養老孟司氏は、「同じ病気や症状であっても、患者さんが受けている感覚というのはすべて異なるものだ。病人のケアに関わるのであれば、相手と自分との違いを認識し、その上で相手を理解しようとすることが大切だ」と仰っています。私は、いつもこのことを意識しながら、同じ一個の人間同士としてお互いが影響しあい自己発見していけるような、そんな関係が作れたらいいなと考えながら毎日の診療に当っています。

 そのなかで、みなさんが医療というものについて誤解していたり、疑問に感じたりしていることがたくさんあるのだなぁと思うようになりました。なので今回は、みなさんやみなさんの大切な家族が健康になるために、あるいは適切な医療を受けるために、知っておいたほうが良いこと、知っておかなければならないことについてわかりやすくまとめてみようと思ったのです。


 どうか肩の力を抜いてお読みいただき、いま通院している病医院や医師との関係をちょっと見直してみるきっかけにしていただければいいかなと思っております。そして、みなさんの健康を授けてくれるのは決して病医院や医師ではなく、答えはみなさん自身のなかにあるということに気づいていただけたら嬉しく思います。それでは、みなさんの毎日が健やかで幸せなものとなりますよう心から願っております。

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