医師不足のウソ


知人がやっているNPOの学習会で、ある参加者から質問が出ました。「テレビの報道などで医師不足とか言われているけれども、自分にはその実感がない。だって、通りを歩けば病医院だらけではないか」というのです。これは鋭い指摘だなぁと思いました。「私の認識では、医師が不足しているという話は、私たちが本当に必要としている分野に医師が足らないという意味で、必ずしも必要ではない分野には医師が余っているかもしれませんねぇ」とお答えさせていただきました。

ちなみに、必要なのに医師がいない分野とは、地域差はあるでしょうが、救急医療、周産期および小児医療、在宅医療などではないでしょうか。逆に、不要なのに医師が余っている分野とは、地方大学の付属病院や自治体病院、全国にある中途半端な規模の総合病院、都市圏に溢れている内科系病医院などでしょうか。まぁ、あくまでも私見ですが。

実はこのあたりのことは霞ヶ関でも勘案済みであるようです。政権が自民党から民主党に移行しても、医療費適正化の方向性は踏襲されるそうで、医療費適正化のための具体的施策としては、毎度お決まりの診療報酬マイナス改定だけではなく、国民に医療との適切な距離感を認識させるためのマル秘プロジェクトも動き出すらしい。そんな噂というか、気配みたいなものが耳に入ってきています。

ひとことで言うならば、必要でない医療を利用している人たちを目覚めさせて、病医院から引き剥がそうという情報戦略みたいなものでしょうか。そして、患者を引き剥がされてしまった病医院のマンパワーを、地域にとって本当に必要な分野へ再配置しようというシナリオが作成されているようです。


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