命の値段


あと、ちょっと不謹慎かもしれませんが、患者さん本人にしてみれば本当につらいであろう手術や延命措置は、一方で、経営環境の厳しい病医院にとっては大きな収入源でもあります。これは重要なことです。終末期医療で、ご家族が「一分一秒でも長く」と要望したとしたら、カウンターショック(電気ショック)が
135,000円、24時間対応心電図モニターが11,500円。人工呼吸器装着のために必要な気管内挿管措置は15,000円、人工呼吸器は112,000円。強心剤の点滴は17,000円、心臓マッサージは12,500円…。あっという間に500万円とか1,000万円とかいう金額になってしまいます(ただし、差額ベッド代を除き自己負担額は概ね2割前後)。
 
大切な家族が生きるか死ぬかという状況で動転するのもよくわかります。お金のことなど考えている場合ではないかもしれません。しかしながら、最終的に患者さんが亡くなられた後で、病院からの請求書を見てたじろぐ人たちをたくさん見てきました。誤解を恐れずに言うと、こういう人たちは病院に出入りしている葬儀屋に言われるがままにその後のことを一任してしまい、一ヵ月後にまた云百万円という請求書を見て顔面蒼白になる危険性を孕んでいます。

延命措置に際して、患者さん側が求めない限り見積書は出てきません。ご家族が平常心を失った状態のなかで、日々延命治療に係る費用が膨れ上がっていきます。ホント驚くほどに…。医療と葬儀の世界には、今現在も事前見積りという考え方が定着していないのです。日本人ももう少し、欧米人のようにお金というものにシビアになったほうがいいのではないでしょうか。そして、ほんの数日間命を引き延ばすために、患者さんに苦痛を強いるということの是非について、もっと考えるべきだと思うのです。


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