特定健診よりもはるかに大事なこと


ところで、不規則な生活や食習慣が原因で起こる生活習慣病の代表的なものは「高脂血症」「高血圧」「糖尿病」「肝臓病(脂肪肝)」などです。厚生労働省の調査では、これらの潜在的な患者数は国内で3千万~4千万人と言われ、国民全体の約3分の1にも相当します。これらには自覚症状が長期に渡ってあまりないという共通の特徴があって、本人が気づかぬうちに病気が進行してしまい、結果として、がん、心臓病、脳梗塞などを引き起こすことになりますから、メタボの基準値が適切かどうかは別にして、私たちが健康になるために意識すべき項目であることはまちがいありません。

私の周囲を見渡してみても、やはり体重の管理は現代人にとって最も関心の高いテーマのようです。若い女性のニーズであるダイエットという意味合いではなく、近頃は老若男女を問わず、健康維持のための「肥満防止」に気を配る人たちが増えているのが特徴です。ジャンクフードやファストフードが広く普及したため、それに慣れてしまった子どもたちにまで肥満症状が多く現れ、それが原因となって糖尿病などの生活習慣病を患ってしまう。そんな憂うべき時代になってしまったのです。

となれば、まずは胡散臭い特定健診など即刻止めて、無駄に使っていた税金の使途をもっと国民の健康に本当に役立つ方向に充当すべきではないでしょうか。例えば中学校の保健体育の授業で正しい健康情報や知識について指導する等、真の病気予防や健康増進のための教育にこそ、国家の一大事業として着手すべきだと思います。一部の業界や医師の商魂が見え隠れする特定健診などよりもはるかに価値があります。検診や治療よりも病気にならないための予防教育にこそ、限りある資源をあてがうべきなのです。

現代人が抱えているストレスや運動不足を解消する具体的な方法や、体内に取り込むと人体に悪影響を及ぼす有害な化学物質などの情報を収集し、テレビの人気番組や自治体の広報誌やケーブルテレビを利用して伝えたり、食品添加物や合成洗剤等を使わない生活への改善を促す対策を立てて、市町村や学校単位で指導したりする等々。そのほうがよほど医療費抑制につながるはずだし、定期的に健診や検診を受けるよりはるかに効果的だと思います。


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