NPO法人 二十四の瞳
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感動する医者の話12

まさか毎日そんなものばかり食べているんじゃないだろうな…。
 
たしかに毎日忙しいお母さんが時間をかけて食事を用意するのは大変だろう。しかし、度を越してあの手のお菓子ばかり食べ続けるのは問題がある。今日はそのあたりのことを尋ねてみる必要があるだろう。幼少の頃の食習慣は大人になっても身体に染みこんでしまう。
これでは積極的に生活習慣病になろうとしているようなものである。
 
診察室に戻ってしばらくすると例の母子がやってきた。顔の赤みが多少落ち着いたようだ。
 
 「こんにちは。今日のお昼は何をたべましたかぁ?」
 「ハンバーガーとポテト」
 「じゃあ飲み物はコーラかなぁ?」
 「ううん、メロンソーダぁ」
 「お母さんと一緒に美味しいもの食べて良かったですねぇ。」
 「うん!」
 
お母さんの話では、からだ全体に赤みが取れたものの、まだ痒みは残っているとのことだったが、効果が出始めているようすだったので、このままもうしばらく続けてみましょうということにした。そして私は、今日の本題を切り出した。
 
 「あと、ちょっと毎日の生活のなかで意識して欲しいことがあるのです。」
 「ハイ…」
 「スナック菓子とかチョコレートとかはよく食べますか?」
 「ああ、大好きみたいでしょっちゅう。」
 「実は前回、お子さんがですねぇ、好きな食べ物は、じゃがりこと、なんとかコーンと、あとぉ、なんたらムーチョと…」
 「キャラメルコーンとカラムーチョ、ですかぁ?」
 「あっ、それそれ」
 
男の子が頬月の音のようにキュッキュッと嬉しそうに笑った。つられてお母さんも笑う。
 
「最近のお菓子は名前がむずかしいですねぇ。じゃあ、いまから食べ物の名前を言っていきますからね、好きなものが出てきたら手を挙げてくださいよぉ、いいですかぁ」
 
 「ハイッ!」 男の子は大きな声で元気に手を挙げる。
 
 「では、いきますよぉ。ハンバーガー」
 「ハイッ」
 「フライドポテト」
 「ハイッ」
 「メロンソーダ」
 「ハイッ」
 「コカコーラ」
 「ハイッ」
 「フライドチキン」
 「ハイッ」
 「ポテトチップス」
 「ハイッ」
 「アイスキャンディー」
 「ハイッ」
 「ドーナツ」
 「ハイッ」
 「チョコレート」
 「ハイッ」
 「ピザ」
 「ハイッ」
 「カップラーメン」
 「ハイッ」
 「ええっとぉ…、」
 「ナビスコエアリアルコーン塩味!!!」
 「いゃあ、ぜぇんぶ好きなんですねぇ。いちばん最後のぉ…」
 「ナビスコエアリアルコーン塩味」
 「それもやっぱりぃ…」
 「とんがりコーンのようなものです」と、お母さん。
 「???」
 「スナック菓子です。」
 「ああ、かっぱえびせんみたいなのですかねぇ」
 「ええ、だいたい似たようなものです」
 「夜のご飯はどのようなものをよく召し上がりますか?」
 「平日はやはり、家で作るのがむずかしいので…。ハンバーガーとかホカ弁とかを買って済ませてしまうことが多いですね」
 「なるほど。お仕事終わって、ボクをお迎えに行って、それからお買い物やお料理じゃあ大変ですものねぇ。」
 「はぁ」
 「実はですねぇ…」
私は、食べ物について気をつけてもらいたいことを話しはじめた。

(続く)

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