NPO法人 二十四の瞳
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今こそ変わるとき

病院では、これまで権威主義だけが精彩を放ってきた。医師というのは、周囲の人たちから尊敬を受け、非常に高い社会的地位を得てきた。世間と比べれば、相対的に報酬も高い。しかし、彼らの目から見れば、患者というのは痛みや苦しみから救われることを求める哀れな人間にしか見えない。看護師をはじめとする他の職員たちも、医師と同様の感覚で患者に接しているのではないか。

患者に対する気配り、思いやり、温かい対応について、もう一度ホスピタリティの原点に立ち返って考えて欲しい。医師と患者の心の通ったコミュニケーション、看護師の患者に対する博愛精神を持った対応、受付の懇切丁寧な立ち振る舞い、ヒューマンタッチな病院施設の拡充・・・。これらに努めれば、患者からも感謝され、職員も勇気づけられ、病院再生の格好の機会となるだろうに。

最近では、これらの条件を満たしているところも少なくない。が、これだけではホスピタリティ・ビジネスとしては不十分だ。患者の症状というのは十人十色で一人ひとり異なるし、体質も異なる。患者個々に異なる対応が求められる。つまり、One-to-oneの関係において患者と接しなければならないのだ。これこそがホスピタリティの本質であり、病院にとっては、個々の患者を真剣に丁重に治療することがもっとも基本的なミッションに他ならない。

残念ながら、殆どの病院では、患者自身のことよりも施設内の患者処理システムの方を重視している。システムによる効率化に熱心な余り、人間的な接触をできるだけ避けようとしているようにすら感じてしまうことがある。その方がコスト削減には効果的だと言い切る経営者さえいる。どうも、ミスの減少とコスト削減の一挙両得だと錯覚しているようだが、とんでもない誤解である。そんな考え方が医療ミスの原因になっていると言っても過言ではない。


システムやテクノロジーを動かすのは人間である。病院の職員である。思いやりのある病院というのは、単に職員をロボット化することではなかろう。患者に満足のいくサービスを提供するには、医師を含めた職員全体の意識改革をすることが必要だ。患者がその医療機関をいかに評価するかは、患者が職員と接触する「真実の瞬間」によって決まるのだ。そのためには、患者に対するホスピタリティ・マインドを全職員に徹底していかねばならない。

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