NPO法人 二十四の瞳
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ある大学病院の風景


2004年の6月25日、仙台に出張していた私の携帯電話に、某N大学附属病院の救命救急センターから連絡が入った。母が救急車で運ばれたというのだ。後頭部を鈍器で殴られたような気がした。実は、遡ること一年前の夏、痴呆の兆候が出始めた父に付き添って、医療機関を巡り歩いた時期があった。介護保険の認定を受けるための手続も含めて三ヶ月以上の時間を費やした。それ以来、父の健康状態には気を配ってきたつもりだった。が、母の方は・・・。

救命救急センターの言い分は、担当医師の診立てでは問題がないから引き取って欲しいというものだった。しかしながら、電話口に呼んでもらった母の感じからすると、明らかにダメ・・・というのが私の感触だった。いつだって私には心配をかけまいとして気丈に振舞うあの母が、頭がぐらついて起き上がれないと言っているのだ。しかも、一緒にいる父は痴呆を患っている。そのことを看護師に伝えても埒が明かなかった。ほとんど怒鳴りあいになった・・・。

「怒鳴りあい」である。看護師側も怒鳴っているのだ。これって、ちょっと信じられない話ですよ、一般のビジネス現場では。母は、医師にCTスキャンを要望したのだけれど、「四肢に麻痺が認められない」から、その必要はないというのが医師側の回答。この一点張り。母としては、問題がないと言われても現実に目の前が真っ暗で普通ではない事態を、身を持って体感しているわけだ。問題がないという裏付けが欲しかったのだ。しばらく会話してみて、こんな看護師や医師のいる病院に母を置いておくのは逆にヤバいと直感した。しかし、いかんせん仙台だ。どうしてもすぐには戻れない状況だった。ここはもう、共働きしている家内に頼むしかなかった。

幸い一時間半後には、家内が両親を引き取りに出向き、自宅に連れ帰ってくれたのだが、引き取る際にまたもめた。家内に念押しして、レントゲンフィルムの貸出しを言伝てたのだが、件の看護師に「必要ない」と言われ押し帰されてしまったのだ。そのことを家内から伝え聞いた私は、また看護師と怒鳴りあいだ。結果的には、翌朝、再び家内が病院に立ち寄りフィルムを入手したのだが、これはひどい話だ。とんでもない看護師である。必要かどうかを決めるのは、そもそも患者でしょ?

医療事故をはじめ、連日のように大学病院の不祥事が報道される昨今ではあるが、現場の職員個々にホスピタリティ・マインドが根づくのは一体いつの日のことだろうか・・・。 (続く)

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