典型的な西洋医学の落とし穴
日本ではいつから「医療=西洋医学」となったのでしょうか。もちろん、西洋医学というひとつの枠に収まることなく、眼の前の患者さんを苦痛から救うということを唯一の目的として、情熱を注いで東洋医学をも勉強し、その治療法を駆使しているお医師さんたちもいます。しかし、私たちが普通に病医院で診察してもらう場合、99%は西洋医学の範疇での診断と治療になります。それも細かい専門分野ごとに診療体制が分かれていて、患者さんにしてみると使い勝手の悪いこと甚だしいですよね。肩が痛ければ整形外科、胃が痛ければ内科、頭が痛ければ脳神経外科…と、患者さんは苦痛に堪えながらいくつもの診療科に出向かねばならないのです。
例えばこんな例があります。左肩の痛みが久しく取れず近所の医師のところへ行ったら、「レントゲンでは異常はありませんねぇ。気になるでしょうから、痛み止めを飲んでしばらく様子をみましょうか」で済まされ、ご丁寧にも3種類もの薬を処方されて終ってしまったそうです。
読者のみなさんは、患者であるご自分が体調に違和感を覚えているにもかかわらず、データ的に問題がないからといって医師から気休めを言われた経験はありませんか?
あるいは、まったく逆のケースも最近では増えているようです。本人は痛くも痒くもないのに腹に腫瘍があると言われる。いまなら100%根治できるから早々に手術をと勧められる。その結果として、それまでは日常生活に何の支障もなかった人が、リハビリをしながら生活していかなければならなくなった…。「早期発見・早期治療」が喧伝される昨今、こんな話をよく聞くようになりました。
話を戻すと、先程の例は、最近の医師のデータ偏重傾向をよく表していますね。実は、肩の痛みが心臓病の予兆であることもあり得ます。たまたま出会った医師が整形外科であったとしても、「肩のその辺りが痛いというのはひっかかりますねぇ。一度循環器科にも行かれてみては?知っているところをご紹介しましょうか?」などと言ってくれればいいのですが、実際には「とりあえず痛み止めを出しておきましょう」で終ってしまう。これが現代の医療、つまり西洋医学というものです。
もうひとつのケースもよくありがちです。現在は病医院にもいろいろと事情があって検査に熱心です。医師がそこまで言うのならと半日ドックに入ったら胃にポリープがあると。良性であっても、今後のことも考えて、今のうちに取れるものは取
西洋医学の現場では、「木を見て森を見ず」ということがよくあります。患者さんの話に耳を傾けながら聴診器を当てる。そんな光景が診察室から消えつつあるのは大きな問題です。
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