西洋医学の限界

    先日、シニア向けに困りごと相談のNPOをやっている知人と話していたときのことです。彼が言うにはこうです。「5年近くもいろいろな相談を受けてきたなかで、ずっと考えていたことがあるのですが…。
西洋医学では、傷は治せても生活習慣病は治せないのではないでしょうか。よくよく考えてみたら、かつての皇后妃殿下にしても“ミスタープロ野球”こと長嶋茂雄さんにしても、あるいは大物政治家たちもそうです。いつの時代でも、VIPと称される人たちの治療には、西洋医学の権威たちによる医師団とは別に、必ず漢方医など、東洋医学の医師がついていますよね…。」 
間髪いれずに、「♪ピンポ~ン♪」と、私は言ってあげました。

    基本的なお話をしますが、そもそも西洋医学とは、戦争の絶えなかった
20世紀に主流となった学問なのです。その時代の医療に求められたのは、病気の根源的な治療ではなく、ケガやそれに伴う感染症に対処することでした。傷への外科的処置と菌に対する抗生剤。この2点によってのみ、西洋医学は今日の医療の花形になったわけです。

    ところが、現在の病気というのは当時とはまったく異なるものです。当時の病気のほとんどが「外からの病気」であったのに対して、がんや心疾患や脳梗塞といった生活習慣病は「内なる病気」です。要は、私たちが長い時間をかけて積み重ねてきた生活習慣が原因となって症状に表れた現象なのです。原因が私たちの生活のなかにあるわけですから、がんの病巣だけを摘出しても、退院して元の生活に戻っただけではがんが再発してしまうのも当然のことです。根本原因を潰してないわけですからね。つまり時代とともに病気の質も変わったのです。ならば治療法も変えていかないと、いつまで経ってもわたしたちが健康を取り戻すのは難しいということになってしまいます。

わが国の医療が向かうところ

★これからの超高齢社会の地域医療インフラを支える3本柱。それは、「在宅医療を担う医師、在宅医療基地となる地域の中小病院、医療・介護の出前機能が付いた賃貸形式の終の棲家」である。これを地域単位で整備することが目指すべきゴールである。目標は、団塊世代のすべてが65歳以上となる2015年。それは国民の4人にひとりが高齢者となる時代でもある。2015年を迎えるまでに、いま無駄に存在している医師たちはシャッフルされなければならない。彼らは地域ニーズに合致した勤務場所に再配置され、然るべきミッションに立ち返ることになるだろう。
★この6年間で、メディアは真実を伝え、国民に無駄な医療と距離を置くための判断材料を提供していかねばならない。それは『健康革命』と言い換えてもいいだろう。国民が真剣にならない限り、これまでいい加減な医療を提供してきた病医院経営者や医師が襟を正すことはないし、真の医療制度改革も見通しが立たない。
★念には念を入れておこう。医療界には自浄作用が期待できそうにないという前提で、厚生労働省は2012年のダブルインパクト(診療報酬および介護報酬のダブルマイナス改定)のシナリオ作りを急いだ方がいい。いや、もう取りかかっているという話も聞こえてくる。となれば、ここ数年で、病医院業界は「血の海、焼け野原」という公算大である。しかししながら、これは医療再生へのステップだ。破壊なくして創造なし、である。2015年に地域医療のあるべき姿を実現させるために非常に重要な6年がいま始まったのだ。


NPO法人 二十四の瞳
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