西洋医学の限界
先日、シニア向けに困りごと相談のNPOをやっている知人と話していたときのことです。彼が言うにはこうです。「5年近くもいろいろな相談を受けてきたなかで、ずっと考えていたことがあるのですが…。
西洋医学では、傷は治せても生活習慣病は治せないのではないでしょうか。よくよく考えてみたら、かつての皇后妃殿下にしても“ミスタープロ野球”こと長嶋茂雄さんにしても、あるいは大物政治家たちもそうです。いつの時代でも、VIPと称される人たちの治療には、西洋医学の権威たちによる医師団とは別に、必ず漢方医など、東洋医学の医師がついていますよね…。」
間髪いれずに、「♪ピンポ~ン♪」と、私は言ってあげました。
間髪いれずに、「♪ピンポ~ン♪」と、私は言ってあげました。
基本的なお話をしますが、そもそも西洋医学とは、戦争の絶えなかった20世紀に主流となった学問なのです。その時代の医療に求められたのは、病気の根源的な治療ではなく、ケガやそれに伴う感染症に対処することでした。傷への外科的処置と菌に対する抗生剤。この2点によってのみ、西洋医学は今日の医療の花形になったわけです。
ところが、現在の病気というのは当時とはまったく異なるものです。当時の病気のほとんどが「外からの病気」であったのに対して、がんや心疾患や脳梗塞といった生活習慣病は「内なる病気」です。要は、私たちが長い時間をかけて積み重ねてきた生活習慣が原因となって症状に表れた現象なのです。原因が私たちの生活のなかにあるわけですから、がんの病巣だけを摘出しても、退院して元の生活に戻っただけではがんが再発してしまうのも当然のことです。根本原因を潰してないわけですからね。つまり時代とともに病気の質も変わったのです。ならば治療法も変えていかないと、いつまで経ってもわたしたちが健康を取り戻すのは難しいということになってしまいます。