面会時間…、さて欧米では?

こんにちは、ジャムおじさんです。
今回も、『患者中心の医療』というものを考えてみたいと思います。
 
ニューヨークにいる親友は、第一子が生まれたとき、24時間、NICUに入室可能と知って、さすがはアメリカだなぁと感動したそうです。おかげで仕事に集中できたし、夜、仕事を終えてからわが子の寝顔を眺めてから帰路につくことが日課になったといいます。実は、カナダでも、オーストラリアでも同じです。これらの国々の病院は「患者中心主義」に基づき、できるだけ患者や家族の要望を受け入れようとしているのです。もちろん、面会客が多ければスタッフたちの仕事の効率性に支障が出るのは、どの国のどんな病院でも同じです。それを承知のうえで、病気の赤ちゃんや未熟児が両親とともに過ごす時間のほうをより重視しているということです。
 
昨年、患者満足経営で有名な亀田総合病院の院長にお話を聞く機会がありました。アイオワ大学病院では、家族は24時間いつでも入院中の子どもに面会できるそうです。父母や兄弟はもちろん、父母が許可した人はいつでも面会できるというのです。駐車場にクルマを置いてから、NICUの新生児ベッドに着くまで、着替えを求められることもありません。これは、全米で普通に見られる光景です。亀田総合病院では近いうちに同様の方式を採り入れるそうです。外来者が普段着のまま赤ちゃんに面会したとしても、通常、赤ちゃんの生命に危険が及ぶことはありません。特別なリスクファクター(危険因子)がある赤ちゃんに限って、隔離等の適当な予防措置が必要ということに過ぎません。
 
亀田総合病院に全国から患者が集まる理由の一端を聞いた思いがします。ちなみに、同院の全職員に課せられている行動指針は、“Say Yes”。この標語は、患者さんからの要望に極力Noと言わないこと、何とかして方法を見出そうとする創意工夫を表しているとのことです。
 

次回も、もうちょっとだけ『患者中心の医療』について考えてみましょう。

新生児との面会時間について…

こんにちは、ジャムおじさんです。
 
つい最近、中高の後輩で、わがNPOを強力にサポートしてくれているHさん(男性)に、待望の第二子が生まれました。大変元気な男の子で、Hさんもひと安心といったところです。というのも、私どもNPOの活動を通じて、産科も含めた日本の医療に対して、必ずしも100%の信頼を寄せていたわけではないからです。
 
それは、日本の医療システムについてもそうですし、医師をはじめとする医療提供者についても同様です。献身的な医療に身を投じている医師が多数いる一方で、かなりいい加減なことをやっている医師もかなり存在することに気づきはじめたからです。
 
Hさんは積極的に情報収集し、中高の先輩に当たる医師を選びました。直接会話をして人間的に全幅の信頼の置ける医師だと確信したからだそうです。患者と医師の信頼関係は、すべての治療の基本中の基本だといっていいでしょう。Hさんご家族にとって、信頼できる医師をひとり見つけることができたことは、おそらく人生においてひとつの大きな価値になるはずです。本当に良かったと思います。
 
さて、出産絡みのテーマで以前から気になっていることがあります。それは新生児との面会時間のことです。私も経験ありますが、日本の多くの病医院ではNICU(新生児集中治療室)の面会時間を制限しています。たいていは午前中1時間と夕方の1時間程度。本当に不便です。実の父親でさえ、それ以外の時間には愛しい我が子と面会することができないのです。どうしてここまで制限されなければならないのでしょうか。
 
理由は明白です。病医院のスタッフたちが見舞い客の受け入れを歓迎しないからです。見舞い客は通路を塞ぎ、スタッフを質問攻めにします。大勢の見舞い客が四六時中院内をうろうろしているような状況は、忙しいスタッフにとっては迷惑千万なわけです。つまり、面会時間の過度な制限は医療提供者側の便宜を図るために考案されたシステムなのです。
 
次回も、『患者中心の医療』について考えてみたいと思います。

医者と対峙するということ ~70代女性の膝関節手術を巡って~

今回は、こんなケースを紹介します。

先日、会員さんのお友達が相談があるということで、相談者が入院中の某大学付属病院へ行ってきました。
以下にその内容をご紹介します。

彼女は一ヶ月ほど前、行きつけの大学病院から膝に人工関節を埋め込む手術を奨められたそうです。年明け早々には、手術に先立ち本人の血を1200ccも採るとのことです。入院期間も3週間から1ヶ月と聞かされた相談者は、なんとなく「本当にこのまま手術を受けていいものか」と感じているそうです。

私は直感的に、直接主治医から話を聴く必要があると思いました。そもそも相談者の女性はかなり細く、体重は40kgもなさそうです。つまり、基礎体力があるようには見えなかったのです。そんな70歳半ばの身体から1200ccもの血を抜き取っても支障がないものなのか。それに、ご本人から聞く限り、左膝の痛みの度合い・頻度とも、ここ1年は安定しているとのことでしたので、果たして大掛かりな手術をすることがベストな道なのかどうか確認する必要があると考えたわけです。


いろいろと話していると、主治医が本日の夕方から当直勤務に入るとのことで、成り行きで、いきなり主治医と会話を持つことになってしまいました。18時過ぎ、看護師を通じて主治医への面談を申し入れたところ、15分くらいして、私と同世代くらい(?)でモサァ~っとした感じの主治医(男性)がやってきました。早速、相談者にとっての手術の必要性とリスク、特にかなりの量の採血に体力的に耐えられるものかどうかを尋ねてみたのですが・・・。

果たして、主治医からの説明はこうでした。
①万一に備え、輸血用に本人の血液を1000cc~1500cc確保しておくのが今の標準。
②膝関節手術は技術進歩しており、まず失敗の心配はないと思う。
③手術については、過日患者に対してインフォームドコンセントを済ませてある。


みなさんは、この説明、どう思われますか?
私はこの医者と話して3分もせぬうちに「こりゃ見込みがない」と判断しました。
(1)まず、彼は私の質問にひとつも答えていない。
(2)一般論を持ち出して、患者固有の要因に配慮していない。
(3)まず手術ありきで、手術による副作用や合併症等のリスクに一切触れていない。

主治医が出て行った後、相談者に聞いたところ、「インフォームドなんとかってぇのは何なんですか?」。
これがわが国の医療現場の哀しむべき実情です。こういうのはインフォームドコンセントとは言いません。手術への誘導です。

その後、相談者に対して、私の母がこんな状況下にあったとしたら、彼の上級医に申し入れて別の道を探し始めるという話をしました。それが面倒というのであれば、転院するのもいいでしょうねぇ・・・と。

で、結局は、この相談者の『退院申入れの手続き』、『他の整形外科医の紹介』をやらせていただくことに決まりました・・・。
とにもかくにも、少しでも納得のいかない部分があったら、決して手術なんぞ軽はずみや流れで受けないことです。だって、現時点で取り立てて痛みがないんですからね。

ではまた。

医者の技量が一発でわかる方法とは

私どもの会員はもとより、多くのシニアから頻繁に尋ねられる質問があります。

「私にとっての良いお医者さんとは、とにかく『診立て』がしっかりとしていることです。これってなかなか見分けがつきませんよねぇ・・・。なにか見分ける方法はないものでしょうか」。

まず、ご自分にとっての『いい医者』の定義が明確になっている点がすばらしい!
これって極めて重要なことなのですけれども、なかなかできていない方が多いのです。
みなさんも、是非一度、ご自身にとって『良い医者』とは具体的にいかなる医者なのか、じっくりと考えてみてくださいね。

で、医者の『診立て』。つまり、診断力のチェック方法についてです。
診立てとは、視診・問診・触診によって患者さんを苦しめている症状のもとになる疾患を特定することです。場合によっては検査をして科学的なデータをも判断材料とします。この『診立て』に基づいてそれ以降の治療方針や具体的な処方が決められていきますから、きちんとした『診立て』のできる医者に診てもらうことは極めて重要ということになります。

さて、診立てのできる医者か、できない医者かを見分ける方法があるものでしょうか?
これが相談者の質問です。

結論は、「あります!」。

私の先輩の医者たちが言うには、診立てでもっとも難しいのが風邪だそうです。
従って、風邪の診察をきっちりとできる医者は、技量レベルが高いと思ってまず間違いないそうです。

具体的には、あなたが「風邪かもしれない・・・」ということで診察室に入ったとき、その医者の取る行動を以下のチェックリストに照らしながら観察してみてください。最近では“適当な”診察で済ませてすぐ薬・・・という医者が多い傾向がありますが、最低7点取れれば、そんなにいい加減な医者ではないと思っていいでしょう。

【診立てのできる医者を見分ける10のチェックポイント】 

患者の訴えを注意深く聴き、目をよく見て話をする
症状、特に熱と咳について、いつ頃から症状が出たのか、症状に変化はあったか、また、数ヶ月遡って、同様の症状があったかどうかを尋ねる
食欲や下痢・便秘の有無、尿が正常にでているかどうかを尋ねる
痛む箇所があるかどうか尋ねる
患者を寝かせた状態でお腹を触り、痛みの有無を確認し、聴診器で腸の動きをチェックする
聴診器を胸と背中にしっかり当てて呼吸音を確かめる
喉の奥をよく覗き、首のまわりのリンパ節に触れる
薬は基本的に要らないものである旨伝えたうえで、患者と協議した上で必要と判断した場合のみ、最小限の薬を処方し、副作用を含めた説明をしっかり行う
症状が悪化した場合、あるいは3日程度経過しても好くならない場合は再受診を指示する
再受診の場合は、風邪以外に考えられる疾患について十分に説明し、必要な検査を行うか、然るべき施設を紹介する

ちなみに、最悪のパターンもご紹介しておきましょう。もしもこんな医者に当たったら、二度と行くのはやめるべきです。ハッキリ言ってお金と時間の無駄ですから。

【典型的なチャラ医(チャランポランな医者)の診察風景】 

患者 喉が痛くて、熱もあるんですが・・・。
医師 熱はいつからですか?
患者 昨日の夕方からです。38度近くありました。
医師 口を開けて下さい。あっ、もう少し大きく。
患者 あ~ん
医師 喉の奥が赤いですねぇ。咳は出ませんかぁ?
患者 とくに・・・
医師 風邪でしょうねぇ。お薬を出しておきましょう。抗生物質と喉の痛み止め。
    あと頓服薬も出しておきますから、熱が上がって辛いようであれば飲んで下さい。
    水分と栄養をよく摂って、安静にしていれば心配ないでしょう。
患者 あのぉ、実は胃があまり丈夫ではないのですが・・・。
医師 そうですか。では、胃薬も一緒に出しておきますね。
患者 ありがとうございました。

検査を受ける際の理想的なやりとりは?

こんにちは。
ジャムおじさんです。

さて今回は、検査を受けるときに、医者とこんな会話をすることが望ましいですよ・・・というサンプルをご紹介します。 


もしも、現在なにかしらの検査を控えていたり、勧められている方は、ぜひ参考にしてみてください。
で、あなたの質問を面倒臭がったり、あいまいな返事しかもらえない場合には、速やかに病院を代える勇気を持つべきでしょう。
 

患者  こちらの病院では、心臓カテーテル検査を年間何例ぐらい行っているのですか?
医師  そうですねぇ。年間600件程度でしょうか。
患者  それは、一般的には、多い方なんですか?
医師  施設の規模にもよりますが、うちぐらいの病院では多い方だと思いますよ。うちは、3人の医師が交代で担当していま    
     すから、ひとり平均200例ぐらいです。●●先生をはじめ、みな経験5年以上の経験があるベテランですよ。
患者  そうですか。過去に大きな事故などが起きたことがありますか?
医師  偶発症といって、一定の確率でトラブルが起きる可能性はありますが、幸いこれまでは患者さんが亡くなるような重大
     なケースはありませんでした。
患者  検査中に何かトラブルが起きた場合の備えは問題ありませんか?
医師  副作用やトラブルとしてはこんなものが考えられます。うちでは経験していませんが、検査中にカテーテルが血管を突
     き破ったり、裂け目を作ってしまうなどです。 けれども、万一の場合には、心臓外科としっかりと連携を取っているの
     でご安心いただいて結構です。
患者  具体的に、どのような連携なのでしょう。
医師  はい、心臓カテーテル検査を行う場合には、必ず心臓外科医のスケジュールを確保しておくようにルール化していま
     す。不測の事態があったとしても、心臓外科医が不在で手の打ちよゔないということが決してないようにしています。
患者  ありがとうございます。はっきりと聞くことができて安心して検査を受けられそうです。

こんなすばらしい対応をしてくれるお医者さん、どこかにいないものですかねぇ・・・。

さいごに、胃の検査を受ける際の注意事項を3点挙げておきます。
日本人の死因のトップである胃がんの他、胃潰瘍、胃炎、十二指腸潰瘍など、胃は「成人病の巣」です。

よって、当然検査を勧められる機会が多くなりますが、ここで気をつけておきたいことは・・・。
 ①集団検診でのレントゲン撮影には過度の期待をしない。
 ②胃カメラの消毒や感染予防の具体的な対応を確認する。
  (胃カメラ後急性胃炎、MRSA、肝炎ウィルス)
 ③胃カメラ検査前に服用する鎮痛・けいれん止めの薬は、緑内障の人は特に注意!急激に眼圧が上がる等の発作が日本消化器内視鏡学会より報告されています。

ではまた。

具体的な検査方法の確認とは

こんにちは。
ジャムおじさんです。
 
さて、今回は検査を勧められたときに、事前にこうやって確認してください・・・というお話をします。 
以下の質問をしてみて納得のいく説明が得られなかったとしたら、その医療機関で検査を受けるのはやめたほうがいいと思います。
<検査方法を具体的に聞き出すときの質問> 
●どのような方法で行うのですか?
●痛みはありますか?
●危険はありますか?
●どのくらい時間はかかりますか?
●事前に守らねばならないことはありますか?
●検査後の日常生活に支障が出る可能性はありますか?
 
また、検査を円滑に行うため、あるいは詳細な結果を出すために、事前に注射や投薬をする場合がありますが、副作用が生じてその後の日常生活に支障をきたす可能性もありますので注意が必要です。
 
<検査前に注射や投薬をしますと言われたときの質問>
●何か副作用が出る可能性がありますか?
●副作用が出た時にはどうすればいいですか?
●もし副作用が出た場合には、どれくらいの時間でもとに 戻りますか?
●急性薬剤アレルギーが出たときに、5分以内に気管内挿管してもらうことが可能ですか?
 
なお、気管内挿管とは、直接気管にチューブを挿入して肺に酸素を送る心肺蘇生法のことです。心臓が停止して4-5分すると脳は致命的なダメージを受けてしまいますが、それを回避するもっとも効果的な方法が気管内挿管です。
 
日本消化器内視鏡学会の調査によれば、1983年からの15年間に、胃カメラ等の前処置の際のショック症状で189人の方が亡くなっています。案外気軽に受け止めている内視鏡検査で、それも前処置の段階でこんなに多くの死亡事故が起きているのです。万一の場合の対応が整っている医療機関でなければ、とても恐ろしくて検査など受けることができません。

次回は、検査を受ける際の医者との理想的なやりとりをご紹介します。

検査を勧められたら・・・? 【検査を受ける際のチェックポイント】

こんにちは。ジャムおじさんです。
 
ここ数年、各病医院は積極的に検査を励行しています。
経営環境が厳しくなり、医業収入を維持するため…といった側面も否定できません。
ちょっと規模の大きな病院にもなると、痛みを訴えている患者さんを入院させたはいいけれど、肝心の治療に入る前に、検査検査の連続で数ヶ月が過ぎてしまうことすらあるくらいです。
 
逆に言えば、医者の診立て技術がレベルダウンしたのかなぁなどと勘繰りたくなるケースも多々あります。データ偏重というかなんというか…。
で、今回からは検査についての基礎知識をご紹介しようかと思います。お付き合いください。
 
さて、治療方針をしっかりと立てるためにも検査は必要です。体のどの部位がどうなっているのかを見極めることは当然といえば当然です。しかし、患者側が知っておかねばならないのは、検査そのものにもリスクがあるということです。例えば、治療前の検査段階でミスがあったら何にもなりませんよねぇ。でもあるんです。そういうことが。
 
私が検査のリスクについてつくづく考えさせられたきっかけは、1999年の4月に大阪で起きた医療ミスでした。どんな状況だったかというと…。
 
54歳の男性が食欲不振を気にしていました。時折、みぞおち当たりに痛みも覚え、市販の胃薬を飲みましたが効き目がありません。家族の奨めもあって、大阪市内の胃腸科を標榜している医院にかかることになりました。医者は、問診・診察の後、胃のレントゲン撮影、血液検査、腹部エコー検査を指示。検査の結果、慢性胃炎と診断され、胃薬等をもらって服用するも、症状に改善が見られませんでした。
 
医者の態度がはっきりしなかったため、一ヵ月後に思い切って大阪府立病院を受診。検査の結果、進行性の胃がんとわかり緊急入院となりましたが、既に手遅れ状態で、同年6月には還らぬ人となりました。
 
今日の医療では、通常、自覚症状がある場合にはレントゲン検査だけでは不十分で、内視鏡検査(胃カメラ)が必要というのが常識です。それを怠ったがために、患者を苦しめていた真の原因である『がん』を見落とされてしまったというケースでした。
 
この医療ミスで検査のリスクというものに関心を持った私は、いろいろと調べてみました。すると、胃カメラや大腸内視鏡検査は小規模の医療機関でも日常的に行われていますが、重大な事故が一定の割合で起こっているという事実に突き当たったのです。
 
日本消化器学会医療事故対策委員会の調査では、過去10年間で、医療機関に責任があり、保険金が支払われた消化器疾患関連の事故例541件のうち、内視鏡に関わる事故は197件。
うち、大腸内視鏡検査に係る事故が144件(73%)もありました。その殆どが、医師が内視鏡の操作を誤って大腸等を突き破ってしまったものだったのです。他にも、検査時に投与する薬が原因で不慮の事態に陥ってしまったケースも散見されました。
 
つまり、患者側としては、検査というものにはリスクがつきまとうものだという認識を持って、もしも検査を勧められた場合には当該検査の内容やリスクについて事前に確認しておく必要があるということになります。
 
で、相談者に私がお伝えしていることを整理すると以下のようになります。
1.検査をしますと言われたら、3つの質問をしよう *後述
2.過去の検査データを持参しよう
3.その検査経験がもっとも多い医師をリクエストしよう
4.検査方法を具体的にたずねよう
5.検査前の投薬による副作用を確認しよう
6.心臓病を患っている人や高齢者は、チーム医療ができる医療機関で検査を受けよう
7.検査結果は自分の目で確認しよう
8.危険度3の検査は、年間100例以上の実績がある医療機関で受けよう
 
<検査を受ける際の基本3質問>
1.いますぐ必要な検査なのですか?
2.この検査で何がわかるのですか?
3.後日でも構わないのであれば、いつまでに実施すればいいのですか?
 
<検査を受ける上での要望事項>
1.検査内容の事前確認(目的、方法、リスク)
2.検査結果の確認
3.検査所見の入手(どんな検査をして、どんな結果が得られて、担当医はどう判断したのか)
 
自身の病気を正しく理解して適切な治療を受けるためには、検査を受ける際に、医師が何を知りたいと考えているのかを理解しておくことが重要です。巷には、ろくに診察もせずにすぐ検査!という医師も少なからず存在します。経済的な目的や、新しい検査機器を購入したから使ってみたい…等という不謹慎な医師さえいるのです。レントゲン検査ひとつとっても、やり方によっては身体に害をもたらします。検査とは、あくまでも必要に応じてするものだという常識を理解して下さい。
 

ではまた。

笑う門には福来たる

こんにちは。
ジャムおじさんこと、二十四の瞳のヤマザキです。
さて今日は、勉強熱心な会員の方からのリクエストで、『笑い療法』について私の知るところを書いてみます。

一般に、笑ったり、感動の涙を流したり、適度にハラハラドキドキしたりすることは、免疫力を高めたり、脳を活性化させたりするため、明るく前向きに生活するためには極めて効果的だとされています。とくに生活習慣病と言われる高血圧や糖尿病などの症状には、下手に薬を服用するよりもずっといいと言われ始めています。もちろん私も同感です。

笑い療法については、高柳和江(日本医大助教授・病院管理学)さんという方が有名です。彼女は、「癒しの環境研究会」の世話人をされていますが、この研究会では「笑い療法士」という資格を認定するなどして、笑いで患者の自己治癒力を高め、健康な人の発病予防をサポートすることを推進しています。

 
同研究会のホームページでは、笑い療法士は「そばにいても安全で安心」と相手の方に思っていただくことが、まず大切で、病院、福祉施設、学校、普段の生活の場などで患者さんやそばにいる人に受け入れてもらうことが大事なことだ、周囲の雰囲気を明るく、楽しくする人たちに与えられる資格なのだとアピールしています。単に、病院や施設といったところばかりでなく、町々に、世の中に広く笑いの花を咲かせたいというのがその趣旨のようです。

高柳氏によれば、「10分間の大笑いで2時間は痛みが取れる。幸せホルモンであるエンドルフィンやセロトニンが出る。NK細胞活性も高まり、免疫もあがる。笑いが一番、薬は二番」だそうで、「1日5回笑って、1日5回感動することを心がけましょう」とのことです。

かつて日本心身医学会が、癌患者が大阪の吉本新喜劇を見て大笑いしたところ免疫力が活性化したと発表し、それが新聞に掲載されたことがありました。米国でも笑いの効果が実証されています。米国の研究論文から引用すると・・・、
 
(1)ユーモアや笑いは、ナーシングホームの人々の健康づくりに大いに貢献する作用がある。
(2)大笑いは内臓のジョギングともいわれ、適度な運動に匹敵する効果がある。大笑いでリラックスすると自律神経の働きが安定。適度な運動をした時と同様、血中酸素濃度も増加するため、ストレスを大幅に減少させることができる。
(3)脳内モルヒネと、以前日本でも話題になったエンドルフィンという強力な鎮痛作用を持つ神経伝達物質が増加し、痛みを忘れてしまう。
(4)脳波では、情緒を司る右脳の活性化が見られ、ストレスで左脳を使う人にとってリラックス効果があると考えられる。
 
調べてみると、笑い療法の源流は、強直性脊椎炎という膠原病の一つを同療法で治した米国のジャーナリスト、ノーマン・カズンズ氏に行き着きます。諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏は、カズンズ氏の養女となった原爆被爆者の女性にインタビューしたことがあるそうで、彼女が笑いによって勇気づけられていった過程を自著に紹介しています。
 
約10年前に、ロビン・ウィリアムス主演の映画『パッチ・アダムス』という映画がありました。実在のモデルで医師のパッチ・アダムス氏が笑い療法を実践して奇跡を起こしていくストーリーですが、機会があればDVDを借りて観てみたらどうでしょうか。

いずれにせよ2010年は、年明けから「笑う門には福来たる」といきたいものですよね。

 
 「災い転じて福となす」べく、苦境も笑い飛ばしたいので、このようなお笑いネタを提供する次第です。

あまりに悲しい某医科歯科大学付属病院の患者対応

こんにちは、ジャムおじさんです。
今日はいつも以上に怒っています。

わがNPOの会員を襲った悲劇をご紹介します・・・。

相談者は60代女性。現在は都内で娘さんご夫婦と一緒に暮らしています。
昨年夏以降、歯科矯正→インプラントを経て、慢性顎骨骨髄炎に陥っています。そもそもの歯科医とは実質ケンカ別れ。抵抗する歯科医と彼の勤務先病院と折衝し、今夏どうにか診療録(カルテ)を取り寄せました。その後、今日まで3~4ヶ所の歯科&口腔外科を転々とするも、いずれも『このカルテでは最初の処置がわからず手がつけられない』、『状況の詳細がわからず手に負えない』とサジを投げられる始末です。
 
本人は顔全体に痛みを覚え、顔つきも別人のように変形してしまっています。当座の痛みを緩和するための鎮痛剤はすぐに効かなくなり、精神的にも限界に来ているようです。それに加え、私が心配していたのは、各ドクターが処方した抗生物質、精神安定剤、睡眠薬、鎮痛剤の種類と量です。身体に良いわけがありません。
 
そしてつい先日、激しい痙攣を起こし救急搬送されましたが、受入れ先の某医科歯科大付属病院では、点滴を打っただけ、『もう落ち着いたでしょう。今回の痙攣は歯の方とは関係がない。おそらく精神のほうの問題ではないか』と、家の近くの心療内科を探すよう言ったそうです。で、早くお引取りをと・・・。ところが、肝心の患者本人がめまいがして歩けないと言う。娘さんも、帰宅後の地獄のような日々(ここ数ヶ月、患者は顔全体の痛みに苦しみ夜も落ち着いて眠れない日々が続いている)が続くことを考えると、もうどうしていいかわからず、死んでしまいたい・・・とおっしゃる程の不安感に襲われています。

相談を受けた私は、同病院内で地域連携室を探して受入先または同院が連携している歯科または口腔外科を紹介してもらうようガイドしました。不安がる娘さんに具体的な台詞までお教えして、母親のためにもがんばってトライして欲しいと伝えました。ここまで檄を飛ばしたのは、これまでいくつもの医者と接触するなかで、患者本人も娘さんも、すっかり医療者不信に陥ってしまっていたからです。『話をしっかりと聞いてくれない』、『精神的なもので歯のほうは関係がない』・・・、こんな感じだったそうです。口の中を見もしないで。

それから15分後、娘さんから電話が入りました。地域連携室とのやりとりの結果連絡です。『ダメでした。こちらでは対応できないの一点張りで埒が明きませんでした・・・』。

私は、声を大にして聞きたい。
この医科歯科大の地域連携室は、どこのだれと連携しているのかと!
腐っても医科歯科大が、歯科医や口腔外科の専門医または開業医とパイプがないのかと!
目の前で「歯&あご&顔じゅうが痛い」と苦しんでる患者に、精神的なものだろうと決めつけて口内のひとつも診ないとはどういうことか!
心療内科を探せ? なぜ医科歯科大が候補を教えてくれないのか!
医者がなにもしてくれないなら、連携室のスタッフにはプロ意識というもののかけらもないのか!

こういうのをドクハラ(ドクター・ハラスメント)というのである。
患者の痛みや不安を低減するどころか追い討ちをかける。診たくない患者は放っぽり出す。転院先を探してもくれない。
どう考えても大学病院が歯科や口腔外科とチャネルがないはずはない。要するに見切ったのである。

こういった場合、どうしても患者側は弱い立場になってしまう。医療とはそういうものだ。医師という、本来は病めるものたちに寄り添い、励まし、希望を与えなければならない社会的上位にある人種たちが、患者の弱みにつけこむ強者となってしまうのである。こういうことは、自分や家族になにかが起きないとなかなか気づかないものだ。しかし、いつ何時、みなさんが当事者とならないとも限らない。

だから、いざ医者と向かい合ったときに不当に不利益を被らずに済むように、最低限の情報武装をしておかねばならない。これをひとりでも多くの人に理解してもらうために、今日もジャムおじさんは走り続ける・・・。

なお、ご紹介した患者さんは、現在然るべきに入院していただき、然るべき治療を受けられることになりました。
探せば存在するものです、患者中心の医療を実践している医者や病医院が。
でも、一刻を争っている状況でこれを探し出す作業は、なかなかできるもんじゃないんですよねぇ、これが・・・。

あなたにとっての“良いお医者さん”とは・・・?

先日、突飛な電話を受け取った。いや、突飛とは書いたが、よくある相談だ。
「多摩市の●●に住んでいる。この近くで良い医者はどこか?」という質問である。

これに対して、まず私が確認するは、「医者は腐るほどいますが、ところで、あなたがおっしゃる“良いお医者さん”とは、具体的にどのようなお医者さんですか?」

わかっていただけますか?
ではもうひとつ。

「数ヶ月前に引っ越してきた。子どもが高熱で苦しんでいる。近所では●●先生の評判がいいのだが、本当に良いお医者さんですか?」

で、私は聞き返す。「ところで、お母さんにとって“良いお医者さん”とは、具体的にどのようなお医者さんなのでしょうか?」

もうおわかりですよね。

医者もいろいろ。患者もいろいろ。ひとの好みもいろいろなのです。

ある人にとっての“良い医者”が、あなたにとっても“良い医者”かどうかはわかりません。価値観がみな違うのですから。

懇切丁寧に徹底的に検査してくれる医者がいいという人がいれば、四の五の言わずに薬を出してくれる医者がいいという人もいます。
診察しながらいろいろと話しかけてくれる医者がいいという人がいれば、余計なお喋りはせず早く結論を出してくれる医者がいいという人もいます。

つまり、あなたが、あなたにとってどのような医者が良い医者なのか。具体的にどのような医者を見つけ出したいのかが明確でない限り、世間の口コミや市販のランキング本は役に立たないということです。

ちなみに、私にとっての“良い医者”の定義を書いておきましょう。

①社会人として常識的な医者 ⇒ 挨拶、言葉づかい、身だしなみ
②医者としての常識的な対応 ⇒ 視診・問診・触診をキチンと行い、わかったことや想定されることをキチンと説明してくれる
③医者としての診療スタイル ⇒ やたら薬を出さない、わからないことはわからないと言う、抱え込まない(紹介先としていろいろな診療科とパイプがある)

ただし、ここでいう“良い医者”とは地域の開業医(中規模以下の病院や診療所)のことです。つまり、私たちが体に変調を感じたときに最初に診てもらうお医者さんです。

手術に執刀してもらう場合など、専門性が求められる場合の“良い医者”の定義はまた異なります。
私が考える“良い専門医”とは、以下を満たしてくれるお医者さんになります。

①当該疾病について診療経験が豊富(例えば手術なら、月間●●例以上など)
②高齢でない(せいぜい50代半ばまででしょうか)
③事前説明、事後説明の時間を納得いくまで取ってくれる(治療法の選択肢、患者や家族の意向確認、術後の生活イメージなど)

さて、あなたの“良い医者”の判断基準は一体なんなのでしょうか?
まずは、あなたにとっての“良い医者”の定義からしてみてください。

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