医者の技量が一発でわかる方法とは

私どもの会員はもとより、多くのシニアから頻繁に尋ねられる質問があります。

「私にとっての良いお医者さんとは、とにかく『診立て』がしっかりとしていることです。これってなかなか見分けがつきませんよねぇ・・・。なにか見分ける方法はないものでしょうか」。

まず、ご自分にとっての『いい医者』の定義が明確になっている点がすばらしい!
これって極めて重要なことなのですけれども、なかなかできていない方が多いのです。
みなさんも、是非一度、ご自身にとって『良い医者』とは具体的にいかなる医者なのか、じっくりと考えてみてくださいね。

で、医者の『診立て』。つまり、診断力のチェック方法についてです。
診立てとは、視診・問診・触診によって患者さんを苦しめている症状のもとになる疾患を特定することです。場合によっては検査をして科学的なデータをも判断材料とします。この『診立て』に基づいてそれ以降の治療方針や具体的な処方が決められていきますから、きちんとした『診立て』のできる医者に診てもらうことは極めて重要ということになります。

さて、診立てのできる医者か、できない医者かを見分ける方法があるものでしょうか?
これが相談者の質問です。

結論は、「あります!」。

私の先輩の医者たちが言うには、診立てでもっとも難しいのが風邪だそうです。
従って、風邪の診察をきっちりとできる医者は、技量レベルが高いと思ってまず間違いないそうです。

具体的には、あなたが「風邪かもしれない・・・」ということで診察室に入ったとき、その医者の取る行動を以下のチェックリストに照らしながら観察してみてください。最近では“適当な”診察で済ませてすぐ薬・・・という医者が多い傾向がありますが、最低7点取れれば、そんなにいい加減な医者ではないと思っていいでしょう。

【診立てのできる医者を見分ける10のチェックポイント】 

患者の訴えを注意深く聴き、目をよく見て話をする
症状、特に熱と咳について、いつ頃から症状が出たのか、症状に変化はあったか、また、数ヶ月遡って、同様の症状があったかどうかを尋ねる
食欲や下痢・便秘の有無、尿が正常にでているかどうかを尋ねる
痛む箇所があるかどうか尋ねる
患者を寝かせた状態でお腹を触り、痛みの有無を確認し、聴診器で腸の動きをチェックする
聴診器を胸と背中にしっかり当てて呼吸音を確かめる
喉の奥をよく覗き、首のまわりのリンパ節に触れる
薬は基本的に要らないものである旨伝えたうえで、患者と協議した上で必要と判断した場合のみ、最小限の薬を処方し、副作用を含めた説明をしっかり行う
症状が悪化した場合、あるいは3日程度経過しても好くならない場合は再受診を指示する
再受診の場合は、風邪以外に考えられる疾患について十分に説明し、必要な検査を行うか、然るべき施設を紹介する

ちなみに、最悪のパターンもご紹介しておきましょう。もしもこんな医者に当たったら、二度と行くのはやめるべきです。ハッキリ言ってお金と時間の無駄ですから。

【典型的なチャラ医(チャランポランな医者)の診察風景】 

患者 喉が痛くて、熱もあるんですが・・・。
医師 熱はいつからですか?
患者 昨日の夕方からです。38度近くありました。
医師 口を開けて下さい。あっ、もう少し大きく。
患者 あ~ん
医師 喉の奥が赤いですねぇ。咳は出ませんかぁ?
患者 とくに・・・
医師 風邪でしょうねぇ。お薬を出しておきましょう。抗生物質と喉の痛み止め。
    あと頓服薬も出しておきますから、熱が上がって辛いようであれば飲んで下さい。
    水分と栄養をよく摂って、安静にしていれば心配ないでしょう。
患者 あのぉ、実は胃があまり丈夫ではないのですが・・・。
医師 そうですか。では、胃薬も一緒に出しておきますね。
患者 ありがとうございました。


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