NPO法人 二十四の瞳
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Winter has come ! ~寒い間だけでも入院しませんか?~

今年も年の瀬がやってきた。
師走・・・。医師も走る12月である。
この季節になると必ず耳にする話が、今年も早速耳に入ってきた。

まずは一昨日、中学以来の親友から持ちかけられた話。
彼の父上(80歳)は、夏場に肺炎で10日ほど入院し、現在は自宅療養中である。
先日、入院していた病院から電話があり、「また何かあってはいけないので、寒い冬場だけでも入院されてはいかがか」というのだそうだ。本人は嫌がっているが、母上は乗り気だという。

で、次は昨日。以前コンサルで入ったことのある都内中規模病院(ケアミックス)の事務長と会食したときのこと。そこで聞いた話をまとめると以下のようになる。

ここ十数年、百貨店関係者が歳暮シーズン到来を待ちわびるように、巷の病医院経営者たちは喜色満面で冬を迎える。寒さで体調を崩しがちな高齢者たちがどっと押し寄せるからだ。

まさしく At last である。
Winter has come ! なのである。

高齢者患者のみならず、その家族たちもちょっとしたことで彼らに病医院通いを奨励する。下手に家で倒れ、そのまま寝たきりにでもなられた日には、生活や人生そのものが変わってしまうからだ。

ちょっと咳ばらいでもしようものなら、医者と家族が示し合わせたように、当の本人がいくら大丈夫だと言おうが、『冬場は家だと冷えるから病院で過ごしたほうがいいわよ』・『万一のことがあってからでは遅いから…』などという光景は全国で日常茶飯事である。

厄介者を体よく追い出して、忙しくも賑わいのある年の瀬の準備に専念できるというものだ。で、入院させられたほうは、本当に身体を壊してしまったりする。なぜなら、病医院の中ほど病気になりやすい場所はないからだ。

ただでさえちょっとした環境変化で体調を崩しやすい高齢者を病原菌の宝庫放り込むのだ。感染確率はかなり高いはずだ。家族は一瞬ギョッとするが、病医院側にしてみればまさに思う壺。その患者が死ぬまで貴重な収益源になる。国家的には国民医療費が膨れあがる…。

いかがですか?
こんな会話を、病院の管理職が、外部の人間である私と一献傾けながらするのですよ!

さて、高齢者患者の家族や病医院を侮辱するにも程があると不快感を露にする人もいるかも知れない。が、これが真実だ。ここまで露骨に言動に表すかどうかは別にして、本質は一緒である。

年末に向けて、病医院の事務長は空きベッドを埋めることに躍起になる。誤解を恐れずに言ってしまえば、無理やりでも埋める。それが彼の仕事なのだ。経営とはそういうものなだから仕方ない。

よって、病医院側を過度に責めようとは思わない。むしろ責められるべきは患者側である。病医院の利用の仕方、医者という人種との接し方を間違えているのだ。

そして、それをきちんと教えてこなかった行政も悪い。さらには、病医院経営者や医師会が自由奔放に好き勝手できるような法制度を立法し放置してきた政治。これこそが悪の元凶だ。

戦略なきわが国(自民党)は、票集めのために医療提供者側の機嫌を取ってきた。世論が厳しくなったら、ちょっとだけ制御の舵を取ってその場しのぎをやる(診療報酬のマイナス改定というやつだ)。その繰り返し。

何十年もの長きに渡って医者たちの自由に任せたその結果、わが国の医療はどうなったか。どこを見ても、本当に必要なものが足りず、不要なものが溢れてしまった。それでもやっと、その不要なものが洗い出された。

そして、不要な分野に携わっている医者たちを、本当に必要な分野にシフトさせていくシナリオができあがった。これまでの提供者本位の医療を利用者中心の医療に正すための対策が遅ればせながら始まることになったのだ。

しかし、である。ここで成否の鍵を握るのが患者側の態度である。もうそろそろ、自分や家族の健康を代償にしてまで病医院の儲けに加担する愚に気づくときではないか。自分の身体をいちばんわかっていれのは、たまたま出会ってあなたの前にふんぞりかえっている医者はなくあなた自身なのだ。

質問です・・・。生まれてからずっとあなたの身体とつきあってきたのは一体誰ですか?

あなたの健康に何ら責任を持たない周囲の声に惑わされて病医院のドアを叩いてはいけません。自分自身がみずからの身体から変調のサインを受け取った場合のみ、検査を受けるために病医院を利用しましょう。そして、検査結果に異常がなければ、それっきり病医院とは距離を置きましょう。

あなたを引き留めるために、医者は『薬を出しておきましょう』・『しばらく様子を見ましょう』・『来週また来てください』などと言うでしょう。しかし、もうおわかりですね。医者の関心はあなたの健康ではなくあなたが運んでくれるお金(診療の対価としてもたらされる医業収益)なのですから。

みなさん、そろそろ気づいてもいい頃なのでは???

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