またまた悲惨なケース ~歯医者に顔面と生活を破壊されて・・・~
私どもNPOの活動についてちょっとだけお話させてください。私どもに持ちかけられる相談のトップ3は、左記のとおりです。
①カルテや検査データ等を入手したい(カルテ等の開示請求手続き)
②突然の退院勧告に困っている(転院先確保に係る病医院との折衝)
③別の病医院の診断を受けたい(セカンドオピニオンの手続き)
まずは具体的なハウツーをお話しして、相談者ご自身で相手の医者にかけあってもらいます。医者の世界でも、最近では積極的な情報開示の風潮が浸透してきていますが、それでも半分の確率で相談者は玉砕してうなだれて戻ってきます。
そこで私どもが、相談者に代わってカルテや検査データを入手したり、相談者の都合を説明して退院時期を延ばしてもらったり、転院先の病医院を探してくれるよう頼んだり。そんなことをして差し上げているわけです。
つい先だっても、あるシニア女性から電話がかかってきました。私どもの会員ではありませんでしたが、地元の情報誌で私どもの活動を知ったのだとおっしゃるので受けることにしたのですが・・・。
『インプラント治療を受けようとある国立病院の歯科に行ったら矯正を勧められ、その結果、下の歯茎が陥没してしまった。その後半年にわたり処置を重ねるうちに、顎はカクカクと音を立て始め、痛みは顔全体に広がってモノを噛むこともできない。いまでは顔つきまで変わってしまった。精神的にもまいってしまい、夜も眠れない。別の歯医者にかかりたいのですが問題ないでしょうか?』
ちょっと聞いただけで尋常でないことがわかりました。相談者の苦痛は相当なものだったはずです。にもかかわらず、この期に及んでもまだ主治医に対して遠慮している様子に、私は腹が立ちました。相談者に対してではありません。その主治医である歯科医に対してです。
おそらくこの半年間、通院するたびに彼女は不安や辛さをわかってもらおうと、例え言葉は足りなかったにしても、その歯科医に伝えてきたはずです。少なくとも伝えようと努めたに違いありません。だって、日常生活に支障が出るほどに苦しんでいたのですからね。そのSOSのサインに気づかなかったのか、気づいていながら無視したのかはわかりませんが、断言できるのは、この歯科医は医者失格というか、人間失格だということです。
私はその場で彼女にこれからの流れを伝えました。そのような医者に時間とお金を割くのはナンセンスであること。転院先の候補として想定しているところがなければ、少なくとも患者の痛みに寄り添って対処してくれる歯科医を紹介すること。転院先の歯科医が効果的に治療するために、この半年間の経緯がわかるようカルテや検査データ等を入手する必要があること。病院側との折衝にストレスを感ずるようであれば、私が代行することも可能であること。今後のために、通院前と現在の顔つきの変化がわかるような写真を用意しておくこと・・・等々。
そして、彼女の最初の電話から2ヶ月。私のもとにようやく送られてきたカルテを見て愕然としました。何十枚とあるカルテのどのページをとっても、ミミズのような判別不能な文字がちょこちょこっと書いてあるだけで、早い話が何も書かれていないのと同じレベルだったのです。
つまり、この人間失格の歯科医は、そもそも誰かに見られることを想定してカルテを記載しているわけではないのです。この2ヶ月に費やした時間とお金はほとんど無駄だったことになります。
その後、彼女は3つの病医院を経て、現在は住み慣れた宮崎の地を離れ、東京に転居。首都圏にある大学病院の歯科と口腔外科で治療中です。どうにか日常生活に耐えられるレベルまで痛みを緩和できたようですが、戦いは続きます。彼女は、医者とはすがるべき存在ではなく、闘う相手だと知ったのです。決意と覚悟に敬服します。
と同時に、ここに至るまで5人の歯科医と接触しながら何も進展がなかったという事実、医者によってはカルテに落書き程度しかしていないという事実。こうしたことは決して珍しいことではないと、みなさんには知っておいてほしいのです。
私どものNPO『二十四の瞳』では、患者側である私たちが知っておいたほうがいいこと、知っていなければならないことについて、さまざまな切り口からわかりやすく情報提供しています。
NPOの認証を取得する前の準備期間から数えると、活動を始めてもうじき5年になります。いまでは、医者や各界の専門家たちが賛同して輪の中に加わってくれています。
私たちひとりひとりが真実を知り、さまざまなリスクを回避する手立てを学び、無駄な医療と距離を置いたとき、健やかで幸せな暮らしへの扉が開くと信じています。
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