病医院の門構え

日本では専門でなくても、診療科目として何科を標榜してもいいことになっている。だから、目の前にいる医者の本当の専門がいったい何なのか、まったくわからない。このこと自体が極めて不親切である。あと、余談だが、日本では、入院ベッドが20以上ある医療機関のことを「病院」、20未満(入院施設がないものも含む)の医療機関を診療所(医院、クリニックも同じ)と呼んでいる。
●普通の医者 ある程度対応できると思う診療科目を3種類程度標榜する。
●良い医者 本当の専門科目しか標榜していない。
●悪い医者 この医者はスーパーマンか?と思ってしまうほどあれやこれや(4種類以上)と標榜している。常勤の医者が2人いれば、あたかも総合病院かのような見せ方をして患者を抱え込もうと工夫している。
 
患者にとって、医者の本当の意味での専門領域が何なのかを知っておくことは重要である。

次回の通院時に早速練習してみよう。受付職員でも通りすがりの看護師でも構わない。聞きやすそうな誰かをつかまえて、「あの、こちらの先生、本当のご専門は何なのでしょうか?」と。実は、職員でさえよくわかっていない場合があってなかなか面白い。また、診察室に、これ見よがしに専門医や認定医の認定書などを貼付してある医者を見かけるが、この専門医というやつはあまり当てにならない。日本の場合、お金を払って学会に出てスタンプを貯めこめば誰でも専門医になれるからだ。まぁ、昔懐かしい小学校時代の夏休みのラジオ体操みたいなものだと思っていい。こうしていろいろと医者の世界の実情を知っていくと、なかなか興味深いものだ。私など、いつしか遊び心が芽生え、今ではすっかり好奇の花が満開状態だ。この先、ページをめくるごとにいろいろな場面が出てくる。参考にしながら、できれば実際に通院したときに、積極的に情報収集するクセをつけていただきたい。自分がつきあっている医者の実体を知ることが、結果的には患者の健康や幸福に近づくための第一歩となるからだ。

スカッと本音! 患者対医者

今回から、『患者のための医者の品定め ~良い医者 悪い医者 普通の医者~』をお届けする。
 
まずは、前提条件を明確にしておきたい。『患者ための、医者の品定め ~良い医者 悪い医者 普通の医者~』では、患者側から見た「最大多数の最大幸福」を考えることにする。5年間にわたるNPOでの相談活動のなかで、世の中でもっともありがちな患者像を捉えた感がある。そんな最大多数の一般的な患者にとって、理想的な医者とはどのような医者なのか。これについて考えてまとめたのが本ブログである。
 
読者のみなさんは、ご自身の医者に対する価値観と比べながら、肩の力を抜いて読んでみていただきたい。そして、実際に病医院で医者と対峙したときに、ちょっぴりクールな視線で目の前の医者を品定めして欲しいと思う。その結果をご近所のお友だちたちと意見交換しながら、100パーセント患者視点に立った、地域の良い医者ランキングなどを作ってみていただけたら本望である。
 
さて、現代に生きる私たちの死因の殆どは生活習慣病と称されるものである。この世に生を受けて長いこと人間稼業を営むうちに、私たちの身体には少しずつガタがくる。中年と言われる年代にさしかかると、糖尿、高血圧、高脂血症、骨粗鬆症等の症状が出始める。そしてその延長線上には、日本人の3大死因であるがん・脳梗塞・心筋梗塞といった影がちらついてくるのである。逆に、予期せぬ感染症や事故・ケガ・自殺で死ぬのは、現代社会においては少数派である。
 
よって、本書でいう最大多数の患者とは「生活習慣病の症状を既に持っている人および予備軍」と定義させていただく。また、そんな患者たちの品定めの対象となる医者であるが、「生活習慣病の患者が全診療の8割以上を占める医者」のことである。つまり、テレビ番組でよくある、救命救急病棟とかで天才的な技術で高度な難手術に敢然と挑んでいくような、ブラックジャックのような医者は品定めの対象としない。言い換えれば、地域の第一線でプライマリーケアに従事する医者ということになる。昔風に言えば“町医者”である。
 
つぎに、本書でいう患者像をもう少し明確に定義しておこう。できることなら、読者のみなさんが、「あっ、私もそうだ」と賛同して、頷きながら読み進めていただきたいものである。そこで、私が数えきれないほどの相談者と接してきた経験から、彼らがこれからの人生に対して抱いている希望や願望の最大公約数を設定してみた。それは、「50歳過ぎくらいから何かしら生活習慣病の症状が目立ちはじめたものの、日常の活動に支障がない程度に症状をコントロールしながら、100歳まで人生を全うしたい」ということである。たぶん、読者のみなさんの7割以上は該当するのではないかと思っている。
 
日本が世界でいちばん長生きの国となって久しい。100歳以上の人が3万人を超え、国民の4人にひとりは高齢者(65歳以上)なのだ。感染症や戦争であっと言う間に命を落としてしまうことも少なくなかった時代と比べ、現代人の「死」とは極めて緩やかなものになった。何かしらの症状を発症したからといってもすぐに人生の終わりとはならない。その後何年もの長い時間をかけて、ゆっくり死んでゆくという特徴がある。死に対する準備期間があると言い換えることもできるだろう。
 
このことから、先述の患者の願いをもう一度見てみよう。「50歳過ぎくらいから何かしら生活習慣病の症状が目立ちはじめたものの、日常の活動に支障がない程度に症状をコントロールしながら、100歳まで人生を全うしたい」。これを具体的な日常生活の過ごし方に書き換えるとどうなるか。
 
そう。患者にとって幸せな人生とは、「その患者自身が決めた寿命までの長い歳月を、然るべき範囲内で、好きに食べたり飲んだりできて、好きに活動できる人生」ではないか。健康上あるいは身体上多少の不具合があったとしても、明るく楽しく前向きに毎日を送っていける。これが長生きしなければならない時代の幸せな生き方なのではないだろうか。
 
例え寿命だけを無理して延ばしたところで、自分の好きな食べ物を自分の口で食べられない、美味しいお酒も嗜めないというのでは人生を堪能しているとは言いがたい。自分の足で散歩したり、お風呂に入ったり、友だちとお喋りしたり、映画や芝居を観たり、旅行にいったり…。若い頃と同等とはいかないまでも、心身ともに愉しく潤いのある日々を過ごすことができる。それが健やかで幸せな熟年ライフというものではないだろうか。そう考えると、最大多数の患者にとって理想的な医者とは、こうした患者の幸せを実現できるように応援してくれる医者ということになる。
 
こんな視点から、読者のみなさんのまわりを見渡してみていただきたい。果たして、これから先の長い長い期間にわたって、みなさんの健康や幸福に貢献してくれそうな医者がどれくらい存在するものなのか。そして、みなさんが100歳まで健やかで幸せな日々を送っていくためのパートナーとなり得る医者を、なんとか探し当てていただきたいと心から願っている。

医者が考える患者との相性

前回まで、「患者が考える良い医者」、「医者が考える良い医者」についてご紹介してきました。
これを踏まえて、今回は『両者の相性』というものについて、医者はどのように考えているかを聞いてみました。
 

●患者と医者の間にだって、相性の良し悪しはもちろんある。その場合、他の病院に行くことをお勧めする場合もある。
人間的に魅力がある患者さんにはついつい対応も変わってしまう。患者さんのキャラクターや性格がわかっていると状況・症状も正確に把握でき適切な対処ができる。 
3分話しただけで「どれだけ話してもこの人には通じない」と分かる患者さんもいる。それだからと言って説明をしないわけではないが。
●患者さんとは医者は信頼関係・人間関係の上になりたっている。当然相性の良し悪しはある。
●理解力のない患者、治るためのアドバイスを聞き入れない患者は良い患者とは言えない。
薬や自分の病気についてある程度調べてくる患者さんは、こちらが説明すると理解が早く、賢いと思う。
●いつどんな症状でどう具合が悪いのかをメモするなどして、こちらの質問に簡潔に答えてもらえる人は、非常に賢明な患者さんと感じる。

こうして考えてみると、かつて小泉純一郎氏が言ったように、「患者もいろいろ、医者もいろいろ」であることが納得できると思います。
となると、私たちは、元気なうちから相性の合うお医者さんを貪欲に探しておく必要がありそうですね。

うちの会員さんでもこんなことをおっしゃる方がよくいらっしゃいます。

「でもねぇ、良いお医者さんって、なかなかいないのよねぇ~」。

お心当たりのある方は、ちょっと視点を変えてみましょう。

あなたにとっての「良いお医者さん」とは、具体的にどんなお医者さんですか?

患者さんもひとりひとり個性が異なるように、医者だって多種多様。
いくら「どこかに良いお医者さんはいませんかぁ?」と叫んでみたところで、あなたにとって良い医者が見つかるはずもありません。
まずは、ご自身が求める医者像を具体的に描くことが大切です。

なにはともあれ、『あなたにとって相性のいいお医者さんって、具体的にどのようなお医者さんですか???』

この問いに明確に答えられるようにしてみてください。

医師が考える「良い医師」

さて今回は、医者が考える良い医者の条件について、複数のドクターに聞いてみた結果をご紹介します。

 

●第一条件は技術力。「患者に好かれる=腕が良い」とは限らない。
●正確な診察・確かな技術力・適切な対処ができること。
腕の良い医者ほど忙しいから話す時間が無い。腕の悪い医者はその逆。 
●短い時間でもきちんと患者に納得してもらえる説明ができることは、今後の良い医者の条件としてさらに重要になっていくだろう。
●技術・知識・経験が高いことは当然で、患者ときちんとコミュニケーションがとれる人間も大切。 
●良い医者の見分け方は、難しい症例の患者が来た場合、すぐに他の先生に相談してくれる医者。自分だけで抱え込み、自分の診断が一番だと頑固に対処し続ける医者は、患者にとって一番危険。
・カルテ開示など、すでに時代はオープンにすべき方向に動いているから、他の病院でも診てもらいたいと申し出ても一向に構わないと思う。
●一番良いのは、医者の友人を持つこと。医者が自分の家族を診てもらいたいと思える医者こそが、本当に良い医者ではないか。

こうして眺めてみると、患者と医者の価値観がかなり異なることがわかりますねぇ。

次回は、双方の価値観を踏まえたうえで、患者と医者との相性ということについて考えてみようと思います。

患者が考える「良い医者」

先日、私どもの会員10数名と、横浜の港の見える丘公園にある神奈川近代文学館を訪れました。
渋谷から東急東横線に乗って行ったのですが、私どもの会員が集まると、いつしか話は医者談義に行き着いてしまいます。
これはもう、「性(さが)」ですねぇ~。

今回から3回にわたり、彼女たちのは会話から興味深かったものをご紹介したいと思います。
まず最初のテーマは、『患者側からみた良い医者とは』です・・・。

 

●じっくりと患者の話を聞いてくれる。 
一生懸命説明してくれる。
●診立ての技量は当たり前。病は気から・・・というように、患者の気持ちを和らげてくれだけのコミュニケーションや接遇を持っていて欲しい。
●時間をかけた丁寧な診察と治療法などを詳しく説明してくれる。 
丁寧に説明してくれて、安心感を与えてくれる。 
●薬についてなど、インフォームドコンセントがしっかりしている。
●身内のように親身になって、叱るときは叱ってくれる。
●自分も大病を患ったり、入院経験のある医師であれば、患者の気持ちを理解してくれる可能性が高いのではないか。
わからないことはわからないとハッキリ言ってくれる医者なら信用する。
いろいろな分野の専門医とネットワークを持っている医者が理想。

なるほど、なるほど。
次回は、逆に『医者側からみた良い医者』について、ドクター仲間たちに聞いた声をご紹介しましょう。

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