NPO法人 二十四の瞳
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ここまで来たら診てやるという医者

 母はその後、偏頭痛と、肩からリンパ腺にかけての原因不明の痛みに苦しんだ。医者に診てもらおうにもキツくて通院ができない。タクシーに乗ると、眼の前が真っ暗になり、世の中がグルグルと回りだす始末。おまけに、認知症の父が余計にイライラを募らせる。母の訴えを聞いて、私は往診してくれる医師を見つけようとした。当時はインターネットとも疎遠で手作業で探すしかなかった。電話帳を開いても、どこが往診してくれるのかわからない。
 
 医師会に電話を入れたが、はっきりしたことはわからない。食い下がると、じゃあ保健所にでも電話したらわかるかも知れないと言われた。しかし、保健所の対応も話にならず、結局は仕事の合間に電話帳を持ち出してきて逐一電話をかけまくった。一〇数件目にかけた診療所の職員が、たまたま往診に熱心な医師を知っていて救われた。
 
 それにつけても納得できなかったのは、医師会にも保健所にも、地域の医療機関の情報が集まっていないことが一点。もう一点は、各医療機関の対応の劣悪さであった。
 
 「うちはやってませんねぇー」
 

 「ちょっと今忙しいのでぇ」
 
 「最近は、往診してるとこ、ないんじゃないかなぁー」

  「来られます? 来てくれたら、若干診療時間を過ぎても診れる場合もありますけどぉー」
 (ふざけるなっ!)
 
 これが病院や診療所の受付職員の平均的接遇レベルなのかと思うと、腹立たしさを通り越して情けなくなる。卑しくも、医療機関というのは地域の社会資源である。そこに従事する者たちがこうでは話にならない。いざという時の情報源を日頃から見つけておく必要がありそうだ。
 
 結果的に、母は定期的に往診を受けるようになったが、かかりつけの医師、それも何かしらの事情で通院が困難になった場合には往診も厭わない、そんな医師を確保しておきたいものだ。
 
 つくづく身につまされて感ずることは・・・、
 
 知っているか、知らないか。
 
 世の中は、たったこれだけの違いで歴然とした格差がついてしまうということ。何も知らずにいると、徹底的に不利益を被ってしまうのがわが国の医療なのだ。

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