NPO法人 二十四の瞳
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こんな医者を探せ

医者に求めるのは病気の治療ではなく健康への心構えに他ならない。あなたが100歳まで元気に人生を満喫するためには、生活習慣病の取り扱いが実に重要な課題である。そして、この課題を解決するために医者に行くというのは大きなまちがいだ。医者には生活習慣病は治せないのだから。となれば、患者が医者に求めるべきことは2つ。
 
まずは、治せないのならせめて、気持ちよく接してくれということだ。病医院に入ったら受付職員が爽やかな笑顔で迎えてくれる。待ち時間が長ければ、近くを通った事務職員が気にかけて声をかけてくれる。体温や血圧を測るときは看護師がにこやかに接してくれる。診察室に入ったら、医者がある程度話を聞いてくれて、医者の家族が病気になったときと同じように、親切・丁寧・正直・謙虚に診察してくれる。帰り際には励ましの言葉を添えてくれる。薬を受け取るときは、薬剤師や調剤士がわかりやすく注意事項を説明してくれる。会計が済んで帰るときには、受付が「お大事になさってください。気をつけて」と真心のこもった見送りをしてくれる…。
 
こんなふうにされるだけで、「ああ、ちょっとしんどかったけど、時間をかけて来てかったなぁ」と思えるものではないだろうか。例え病気を根本から治してくれはしなくても、これだけ気持ちよく接してもらえたら、不思議なもので人間は元気になれるものなのだ。病は気から、とはこういうことを言うのである。
 
だから、もしも医者に通うたびに元気で明るい気分になれるとしたら、その医者はまちがいなく良い医者と言っていい。患者の気持ちが晴れやかで前向きになるということは、医者がこころを健康にしてくれているのだ。病気を根本から治すことができなくとも、患者を励まし勇気づけてくれるということは良い医者の証である。
 
さらにもうひとつ期待したいのが、患者のこころのみならず、身体も健康に近づくよう応援してほしいということ。患者の健康にとって有益な知恵や情報を開陳してくれということである。医者が自分自身や家族にそうするように、患者にも健康を回復するための真実をさらけ出してほしいのだ。薬は極力出さない。検査も必要最小限。人間の持つ自然治癒力や免疫力の大切さを教えてくれる。それを高めるために有効な生活のあり方について意見交換ができる。食事や運動やストレス解消の工夫については、専門のスタッフが相談に乗ってくれる…。
 
仮に危険度の高い検査や手術、それに伴う入院等が必要になったら、患者の不安がなくなるまで懇切丁寧に教えてくれる。納得ができない場合には何度でも説明してくれる。自分の手には負えず、より専門的な医者に診てもらう必要があれば、速やかに然るべき病医院の情報と必要な資料を用意してくれる…。こんな医者がいたらいいと思わないだろうか。
 
こういう姿勢をひっくるめて、「患者をエンタテインする」というのだ。エンタテインとは、「もてなす、癒す、労う、励ます」という意味で、これを支えるのがサービスマインド(患者に寄り添う心持ち)とコミュニケーション能力(患者との意思疎通)である。
 
つまり、良い医者とは、薬や検査や手術等で目先の症状をごまかそうとする医者ではなく、患者を快適な気分にできる医者、そして患者が快適な生活を送るのに役立つ知識や情報を気軽に提供してくれる医者のことをいうのである。明日からは、この視点に立ってあなたをエンタテインしてくれる“町医者”を探すことを心がけてみよう。
 
もしも、「私の行きつけの医者は、まさにそんな医者だ!」と言えるようであれば、宝くじに当たったようなものだから決していまの医者を手放してはいけない。徹底的に良好な関係を維持して、人生の続くかぎり「良い医者」活用することだ。
 

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