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毎日3回8種類の薬を飲む女性


知人の依頼を受けて生涯学習講座で話をしたときのことです。休憩時間に参加者たちがお喋りしているのを聞くと、薬に関する話題が実に多いのに驚きました。参加者の平均年齢は70歳くらいでしたから、ほとんどの人が日常的に病医院に通っていても不思議ではないかもしれません。ですが、問題は薬の種類と量です。話の輪に加わってみたら、なんと一人当たり約3種類の薬を服用していることがわかりました。まさに薬のコレクションです。しかも2年以上もの長きに渡って飲んでるという人たちが多いのです。

ある女性は、高血圧と頭痛で通院して2年以上になるそうです。その過程で処方される薬の数は次第に増え、現在ではなんと8種類。詳しく聞いてみると、血圧を下げる利尿剤の他、鎮痛剤、睡眠剤、眩暈薬。更に、副作用予防としてカリウム剤、痛風薬、胃薬にビタミン剤…といった具合に、細かな症状毎に薬を付け足されているのです。根本の症状さえ抑えればいいものを、正直驚かされました。

この話を聞いていた元看護師の女性は、「病院勤務していたときから
投薬に対しては、いくつかの疑問があった。ひとつは、症状が同じだと投薬も全く同じだということ。頭痛の場合はこのセット。関節が痛いときはこのセットと、投薬が決まっていて、あれなら自分でも投薬できてしまう」とあきれたように語っていました。

考えてみれば、たしかに頭痛や関節痛には原因があるはずで、この原因を潰さずして薬で痛みを抑えようとするだけでは何も解決しないはずです。彼女はさらに、「もうひとつは、薬には必ず副作用があるということ。例えば、ある症状を抑える薬には胃や肝臓に悪影響をもたらす副作用が起こる可能性があってもお構いなし。問題となっている症状を改善できさえすれば、あとは胃が悪くなろうが肝臓が悪くなろうが関係ないとでも思っているかのような処方の仕方」だったそうです。

こんなことが罷り通っているとなると、いよいよ患者さん側が情報武装して自己防衛しないと、近い将来とんでもない薬害に見舞われることになるなと深刻な気分になりました。
どうも今日の西洋医学の医師は、臨床薬理学を無視してガンガン薬を処方する嫌いがあります。

この講座を企画した知人からも興味深い話を聞きました。彼は病院通いしているお母さんが何種類もの薬を飲んでいるのを見かねて、認知症のお父さんがお世話になっていた医師のところへ転院させたそうです。それまで大病院志向が強かった彼のお母さんは、いつの間にか降圧剤をはじめとする薬コレクターに陥っていたのです。彼が信頼していた医師は、そんなお母さんに対して、薬を減らしていく治療を行ってくれました。それまでに出会ったすべての医師たちのせいで年々薬の種類が増えていった経緯を考えると、まったく逆の指導をしてくれた医師を、彼は根掘り葉掘り質問攻めにしたそうです。問題意識の高い男ですので、その医師に積極的に接触して、薬について知っておいたほうがいいことを教えてもらったわけですね。
彼が入手した情報はかなりのボリュームです。ここまで医師を活用すればすごい価値だと思います。講座の当日、彼は『両親の闘病から学んだ、まちがいだらけの高齢者医療』なるタイトルで、その戦利品、いや、高齢者向けの正しい薬の処方ガイドを面白おかしく話してくれました。次回、ご紹介しますね。

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