その9 のしかかる医療と介護の費用負担の攻略法
日本人の平均寿命は約80歳。健康寿命が約75歳。その差は5年。
ちなみに健康寿命とは、病気や認知症などで要介護状態となった期間を平均寿命から差し引いた寿命のことである。長寿国では一般に平均寿命と健康寿命の開きが長く、わが国でも最晩年に寝たきりなどになる期間が国民平均5年以上に及んでいるのが現状だ。
つまり、この5年間は医療費や介護費が大きく膨らむ可能性が高い。もっとも、もっと早い段階から医者に通い続けている人も多いわけで、月々の支払いたるや相当な金額になっているはずだ。
これへの基本的な対策を挙げておく。まずは、医療費と介護費の上限設定だ。世帯の所得状況に応じて、それぞれ月額1万5千円の上限設定が可能である。
要は、いくら医療や介護を使おうが、月額1万5千円だけ支払えばいいですよ、ということだ。これは大きい。使わない手はない。基本的に、国民年金だけに依存して暮らしている人であればまず適用される筈。単純計算では適用不可となる場合もあるが、『世帯分離』という裏技もある。
かかりつけの医者と懇意であれば、障害者認定をしてもらって自治体の障害福祉課に届け出て、障害者手帳を給付してもらう手もある。そうすれば、医療も介護も自己負担ゼロだ。おまけに、市営バスやスーパー銭湯などのタダ券までもらえたりする。ただし、自治体によってメニュー格差あり。
他にも、生活保護を受給したり、社会福祉協議会が行っている福祉融資制度など、一般の人たちには意外と知られていない(自治体としても、あまり大々的には告知したくない)救いの手というのがあるものだ。
経済的に本当に行き詰ったら、自ら命を絶ったりせず(最近は列車への飛び込み自殺が増えているが、あれほど迷惑千万なものはない。死んでからも人様に迷惑をかける神経がわからない)に、自治体に相談に出向くべきだ。
が、極めて失礼な対応をする職員もいるから、予め情報武装をしておきたいところだ。
私どもでは、きめこまかいガイドをさせていただいている。遠慮なくコンタクトしてほしい。