NPO法人 二十四の瞳
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その4 色恋に勝る良薬なし

 枯れて、萎んで、ひとり哀しく死んでゆく・・・。そんな孤独な最期がイヤならば、積極的に社会との関わりを持とう。ただし、経済力がないのであれば、若い世代との交流は控えたほうがいい。所詮は傷つくだけだから。自分の歳相応の人たちとの関係づくりに努めることだ。老人クラブでも趣味のサークルでも何でもいい。すべてはアナタの心の持ち方次第である。もっとも理想的なのは、老いらくの恋の相手を見つけることだ。
 
 人間には108つの煩悩があるとされているが、食欲にもまして異性に対する関心や興味は生涯なかなかつきないものだ。そうでなければ人類は絶えてしまうわけで、当然といえば当然なのかもしれないが。
 
 数多くのシニアと話していて理解したのは、『死ぬまでに恋がしたい』と語る70歳から80歳代の人たちがすごく多いということだ。長年連れそった配偶者と死別したことで孤独感が強まったり、家庭に自分を理解してくれる人がいないことへ不満を募らせたり、きっかけはそのようなことだろう。しかし、『恋愛とははしたないこと』という価値観の時代に青春を過ごした人たちが、人前で『恋がしたい』と口に出すってぇことは、その言葉はある意味、SOSを含んだメッセージなのかもしれない。
 
 介護施設等での催しでも、いちばん盛り上がるのはフォークダンスもどきや集団お見合いのような男女がペアになる場面のあるものである。また、重度の介護状態にある者同士が特別の思い入れを抱くような関係になって、心身の状態が快方に向かうということもままあるものだ。杖なしでは歩行できないはずの人同士が廊下の隅で抱擁していたりするのが恋の力である。
 
 性欲を伴おうがそうでなかろうが、恋愛ほど生きていくための意欲やエネルギーを呼び覚ますものはないのではないか。そこには、燃え尽きる前にもうひと燃えするような線香花火の最後のような妖艶な美しさがある。まさしく色恋とは健康の良薬と言えやしないだろうか。

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