NPO法人 二十四の瞳
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東洋医学の可能性

ちょっと古い話になりますが、英国の国際的に有名な医学雑誌で「ランセット」というのがあります。ちょうど20年前に同誌の編集長が公衆衛生行政の動向に関するコメントを書いています。その中に英国環境省の「医療における警戒予知原則の改訂」というものが掲載されています。

『私達は最良の科学情報を用いて、事実を正確に理解して行動する必要がある。しかしこれは、科学的に
100%解明されるまで待つということでは決してない。完治目標のために人々の健康が危険にさらされ、よりよい治療法の開発がなかなかうまく行かない状況においては、完治を求める前に予防を考えるべきだろう。科学的根拠が結論に達していなくても、起こりうる代償と公共の利益の釣り合いがとれるなら、公共の福祉を損ね得るリスクを最小限にくいとめる行動を起こす必要があろう』というものです。

簡単に言えば、東洋医学の有効性が
100%わからなくても、現在の医療が非常に大きな副作用があることがわかっている場合にはそれを避けて、科学的根拠は少ないかもしれないけれども東洋医学を選択すべきではないかということです。私が声を大にして言いたいのは、医療のプロフェッショナルたる者、本来ならばこうしたことを患者さんにもきちんと説明して治療法を選んでいただくという義務があるということです。そこで大事なことは、決して二者択一というのではなく、適材適所に両方の医療が補完しあえるような柔軟な自由選択が、医療を受ける側の権利として確立していなければいけないということです。

私は、仮に患者さんに対して医師がきちんとした情報を提供したとすれば、欧米で東洋医学が浸透してきたのも当然のことだと思います。なぜなら、西洋医学が完全なる対症療法であるのに対して、東洋医学における治療アプローチというのは、病気の本質的な原因を解消しながら本来の健康状態に戻すという修復作業を、患者さんの心身にダメージを与えぬよう配慮しながら優しく実現するという特性を持っているからです。

ですから、知性のある人ほどその可能性を理解して、自己責任の下、東洋医学を選択することになると予想されます。予防段階や治療後の期待効果はもちろんですが、治療しながら人間に本来備わっている機能を回復させていくという意味において、東洋医学は根源的な治療法といえる側面を持っているのです。それは、患者さんの肉体と精神を根本的に癒していくことのできるトータルケアソリユーションと言ってもいいでしょう。

今後、東洋医学においても徐々に科学的根拠が得られてきて、既存の西洋医学も含めた真の統合医療として発展することに期待したいものです。これが定着すれば、西洋医学では太刀打ちできない生活習慣病の改善はもちろん、不老長寿(不老長美)を目指すアンチエイジングや再生医療、遺伝的側面から予防する遺伝外来などの新しい分野も始まり、健康のジャンルはさらに広がりを持ってくるはずです。そんな明るい未来を描きながら、私は目の前の患者さんに健康を取り戻していただくための環境づくりをお手伝いしていこうと思います。

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