感動する医者の話7

医師から検査についての説明を受け、検査日を予約した後に採血。検査日の1週間前から食物繊維を多く含む食事を控えるように言われた。検査前日の夜9時に、予め渡されていた下剤を飲む。まずくて飲みづらい。飲んで2時間もするとトイレへ。
 
検査当日は、朝食・昼食抜きで、処方された薬と胃腸薬を飲む。そしてニフレック(経口腸管洗浄剤:腸管内を洗浄流去する為の経口の薬剤で、大腸内視鏡検査や大腸手術の前処理として使用される)を2リットル飲む。美味しくないのはもちろん、とてもじゃないが量が多すぎる。1リットル近く飲んだところでトイレへ駆け込む。その後は、何度も何度も。吐き気もしてきた。つらい。どうしても全て飲むことができず、残ったニフレックを持って病院に向かう。運良く便の状態が良かったのでどうにか検査を受けられた。
 
フラフラしながら検査室に入り、検査台でうずくまるように横たわる。痛み止めの注射をすることもなく、肛門からカメラが入れられた。カメラが奥に進むに連れ、お腹が痛くなり、熱く感じる。空気を入れているような感じでお腹が張ってくる。カメラが腸内を曲がるときは激痛が走り、そばにあった点滴を支える棒を必死で握り歯を食いしばった。
 
医師からは「楽にして」と言うが、そんな簡単なものではない。例え医者でも、自分がやられたことのない人にわかるはずもない。ガスが出ると少し楽になるが、やはりまだまだ痛い。それにしても、なぜ痛み止めをしなかったのか? そんな疑問も苦痛の前にどこかへ飛んでしまう。その後、カメラがうまく進まなくなり、身体の向きをいろいろな向きに変えられたが、これがまたつらい。唸らずにはいられない。
 
意識が朦朧とするなかで検査室を見渡すと、検査を待っている他の患者さんたちが数人いる。プライバシーというものはないのか。すごく恥ずかしい。このつらさと惨めさはなんだ。医者はうまく進んでいるからと言うものの、痛くてもう何がなんだかわからない。
 
カメラが奥まで届くと、身体の向きを変えモニターを見る。「腸は綺麗になっているようだね」と医者。この人を喰ったような物言いがストレスを掻きたてる。するとまた痛みが…。粘膜を採取され、今度はカメラを抜いていくのだ。行きも帰りも、やはり痛い。
 
検査が終わり起き上がるとお腹が痛い。
「今日は痛み止めを注射しなかったのですか?」
 
たどたどしい口調で医者に尋ねてみる。
「ああ、使わなくて済む薬はなるべく控えるようにしたほうがいいんですよ。」
 
なにか違うような気がする。痛みに耐えて、耐えて、耐えていたのはあなたではない。この私なのだ。それ以上、医者とはもう口もききたくなかった。
 
血圧を測り、少し横になってから車いすで検査室を出る。病院のベッドでしばらく横になり、お腹のガスを出してから洋服に着替える。支払いを済ませて外に出ると、涙が頬を伝ってきた…。

(続く)


NPO法人 二十四の瞳
医療、介護、福祉のことを社会福祉士に相談できるNPO「二十四の瞳」
(正式名称:市民のための医療と福祉の情報公開を推進する会)
お問い合わせ 042-338-1882