NPO法人 二十四の瞳
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薬の処方

欧米では薬の処方を3剤までに抑えるのが原則だ。このことは医学生向けの教科書にも明記されているらしい。つまり、医者にとっては基本中の基本ルールと言ってもいいだろう。とくに高齢者の場合、体内での薬の分解や排泄に時間を要するため、何種類もの薬を一日に2回3回と飲めば、薬同士の相乗作用が生じ非常に危険である。しかも高齢者の多くは、糖尿病、高血圧、コレステロール過多等、「病気のデパート」と揶揄されるだけに多種多様の薬を処方してもらっている可能性が高い。年齢がいけばいくほど薬を常用するには注意が必要だということを肝に銘じておきたいものだ。

しかしながら巷の医者の多くは、そんなことお構いなしで薬を処方しまくっているのではないか。本当に患者を健康にしてあげたいと思う医者ならば、基本的に薬は服用しないほうがいいことを正直に伝えて欲しいものだ。やむなく薬を出す場合には、その必要性や飲み方やリスクについて、医者はキッチリと説明すべきである。不必要な薬を出すだけならまだしも、その薬の副作用で本当に深刻な状況を作り出してしまうことだってあるのだから。知り合いの医者仲間にも高血圧だったり糖尿だったりする人はかなりいる。でも彼らは、患者には薬を出しても、自分では薬を飲まず、食事や運動で少しずつ改善していると口を揃える。真実というのは、いつの時代もこういうものなのかもしれない。知らぬは善人(国民?)ばかりなり、である。

●普通の医者 患者には「一応、お薬出しておきますね」程度のことしか言わない。患者が会計時に処方箋をみると、最低でも2~3種類程度の薬品名が書かれている。院外処方の場合、いちばん近くにある薬局は医者の親族が経営していることが多かったりする。
●良い医者 基本的に薬は出さない。人間の持つ自然治癒力や免疫力を回復させることの重要性を説明してくれる。やむを得ず応急措置的に薬を出す場合は、薬個々にその効用とリスクについてきちんと説明し、「万一異常があれば、いつでも連絡をしてください」と添えてくれる。
●悪い医者 訳もからないままに、4種類以上の薬が処方されている。7~8種類はザラ。相談者事例でもっとも多かったケースは11種類。「良い医者」に調べてもらったら、なんと2種類に減ってしまった!「悪い医者」も、ここまでいくと尊敬したくなる?
 
<ワンポイントアドバイス:よくある診察風景>
患者 喉が痛くて、熱もあるんですが・・・。
医師 熱はいつからですか?
患者 昨日の夕方からです。38度近くありました。
医師 口を開けて下さい。あっ、もう少し大きく。
患者 あ~ん
医師 喉の奥が赤いですねぇ。咳は出ませんかぁ?
患者 とくに・・・
医師 風邪でしょうねぇ。お薬を出しておきましょう。抗生物質と喉の痛み止め。
あと頓服薬も出しておきますから、熱が上がって辛いようであれば飲んで下さい。
水分と栄養をよく摂って、安静にしていれば心配ないでしょう。
患者 あのぉ、実は胃があまり丈夫ではないのですが・・・。
医師 そうですか。では、胃薬も一緒に出しておきますね。
患者 ありがとうございました。


よくありがちな診察風景ではある。が、これではどこをどう判断して風邪と診断されたのかがまったくわからない。当の医者も「当たるも八卦、当たらぬも八卦」といった感じなのだろう。まぁ、この程度の稚拙な診察であっても、9割の患者は数日寝ていれば治るだろう。怖いのは、実は単なる風邪ではなかった…という場合である。また、患者が訴えるすべての症状ごとに対応して薬を出す医者は要注意だ。決して、「まぁ、なんて親切な」などと勘違いしないように。

薬というのはそれ自体が毒性を持っているものだし、薬相互の相性によって思わぬ副作用(死に至る場合さえある)をもたらすこともある。だから、良い医者というのは、患者と話し合いながら、いちばんつらい症状に配慮しながら優先順位をつけていくものなのだ。それと抗生物質。何かというとすぐに「抗生物質も出しておきますから」という医者がいまだに多い。抗生物質が風邪のウィルスに効かないという事実は周知の事実である。にもかかわらず抗生物質を出すのであれば、「ウィルス自体には有効性はありませんが、患者さんが高熱の場合に限って、感染症予防のために抗生物質を出すようにしています」などと、明確な説明が求められる。

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