あなたが具体的にすべきこと
となると、例えば高齢者が日々の生活の中で遭遇する可能性の高いいくつかの分野について、最低限知っておきたい情報等を広くわかりやすく解説してあげるのが入口としてはいいかも知れません。熟年生活を円滑にするためのガイドみたいな感じでしょうか。実際にやってみるとわかりますが、世の中の高齢者は、ホント何にも知りません。そして、知っているか知らないか。たったそれだけの違いで、いざという時に悲惨な状況に陥ってしまうという危機感がありません。それは言うまでもなく、日本という国の上層部の人たちが、医療と福祉をはじめとする世の中のしくみをわざと難解にしているからです。そうすることで、私たちは国家の経営に協力せざるを得なくさせられているのです。
だから、医療や福祉のシステムも超複雑なのです。ということで、その入門講座でもいいですし、年金や介護保険、葬儀などもシニアの関心が高いテーマです。他にも、生命保険、食事、エクササイズ、遺言状等、みなさんの得意分野があればそれもまた可です。
そこで最初にあなたがやることですが、事務局長または会計担当(通常は女性。私が関わったクラブではすべて、この女性がキーマンでした)に対して、①地元でこれから積極的に相談業務を行っていくこと ②シニアの役に立つ学習会を企画していくこと ③今後、クラブの催しなどで話す機会を戴ければ嬉しいということ を伝えてください。
そのうえで、高齢者クラブ連絡協議会会長(通称、連協長:ブロック長のようなもので、その下に10~数十名の部長がぶら下がっている)を紹介してもらえないか相談してみます。すんなり名簿をもらえる場合もありますし、次回の連協長会議(月例)で時間をもらえることもあるはずです。この流れのなかで、2~3名の連協長と懇意になれたら、あなたの活動は本当に楽になるはずです。
人間関係さえできて、あなたの話が面白ければ、かなり協力的に集客してくれるからです。ちなみに、人口20万人クラスの自治体だと、連協長なるシニアは20~30名。各連協長の下に、部長(中学校区単位の高齢者クラブの会長)がやはり20~30名、組織されているのが一般的です。
さらに次のステップとして、その医者の病医院内で相談コーナーを設けてもらったり、そこの患者さんたちを紹介してもらったりできるようになる可能性が出てくるはずです。もちろん、みなさんのほうから提案するのもいいでしょう。そんな医者を2~3名つかまえることができたなら、あなたの活動にはグッと幅ができてきます。
現実問題として、病医院では身体的な健康に係る問題以外には対応のしようがありません。しかしながら患者さんサイドは、さまざまな問題を抱えながら日々を過ごしていて、肉体的にだけ問題解決しても本当の意味で健康にはなれません。だから病医院には多種多様な相談が寄せられるわけですが、医者も看護師も対応できていないのが現実です。そこをあなたが拾ってあげるのです。この連携関係が作れれば、病医院側にとっても助かる話です。診療以外の厄介な相談はあなたに振ればいいわけですからね。
こうした環境が整ってきたら、いよいよあなたが社会福祉士として表舞台に立つことになります。学習会を企画して、いざ公民館や、あるいは高齢者クラブの会合、病医院のホール等で実際に話をするのです。「私は社会福祉士として、今日お集まりいただいたみなさんの不安を低減するお役に立ちたいと、本気で思っています」と念じながら、心をこめて・・・。そして、本題の終わりには必ず、5分でもいいからNPOへの入会案内をするようにしましょう。みなさんが地元で展開して意向と考えているサービスについてわかりやすく説明してあげてください。そのうえで簡単なチラシ程度は手渡したいところです。また、忘れてはならないのがアンケートです。記名欄(氏名、住所、電話)も用意して、学習会の感想と今後企画して欲しい内容、さらには現在のお困りごとを記入できる欄を作っておきます。これによってあなたにとっての見込客(会員)名簿を増やしていくわけです。
続く