社会福祉士の仕事とは…
ところで、社会福祉士とは本来どのような仕事に就いてきたのだろうか。極論すれば、従来の社会福祉士が携わってきた仕事のひとつの結果が、先述のデータ(社会福祉士の年収)と言うことができる。これは否定できない事実ではないか。そこで、社会福祉士の定義を紐解いてみよう。
「社会福祉士及び介護福祉士法」には、社会福祉士とは「専門的知識及び技術をもって、身体上もしくは精神上の障害があること、または環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業とする者」とされている。
具体的には、上述の施設・病院等における「相談・援助業務」となっている。この中で強いて社会福祉士としての役割を正当に発揮できる場所を探すとすれば、恐らく医療機関くらいであろう。何度も言っているように、これらの中で社会福祉士の数がいちばん少ない筈だから。そこに在籍すること自体で他との差別化が図れる。そしてまた、これらの事業体の中でかろうじて世間並みの賃金を払えるだけの体力を持っているのは医療機関しかなさそうだから。
しかし、私が直感的に思ったのは、医療や福祉という狭いスパンで社会福祉士の活動機会を模索することは得策ではないということだ。おそらくそういった世界固有の価値観や慣習から脱することができない。もちろん待遇面も含めての話だ。医療や福祉の世界では、結局ドクターでない限り、いかに高いパフォーマンスを示そうと看護師は看護師、ヘルパーはヘルパーでしかなく、それなりの報酬しか手にすることはできない。
よって、先述の定義に縛られている限り、社会福祉士の経済的・社会的発展は見込めないと私は思う。「類は友を呼ぶ」ではないが、下世話な言い方をして恐縮だが、儲かっている人とつきあわないと、自分が儲かるということはないのである。だから、儲かっている事業体、成功している事業体との接点を持たなければならない。となると、自ずと視線は一般民間企業に向けざるを得ない。しばし考えた挙句、私は社会福祉士なるものの定義・解釈を若干アレンジすることに決めたのだった。