モチベアップの前提条件3
③心の拠り所を持つこと
時間が有限であることを認識し、明確な目的を打ち立てたとしても、人間やはり落ち込んだり迷ったりすることはあるもの。そんな辛く苦しいときに、無条件に自分を支えてくれる何かを持っている人は強い。心の拠り所は、やっぱり、ないよりあったほうがいい。愛する人、尊敬する人物、心の友、本、言葉、音楽。何でもいい。
宮沢賢治の話をする。3.11大震災で被災された方たちへの応援メッセージとして頻繁に使用されたのが、賢治の『アメニモマケズ、カゼニモマケズ』。花巻から岩手に出て多くのことを学び、故郷への貢献という大志を抱いて戻った賢治に故郷は冷たかった。この詩は、そんな賢治が唯一の理解者であった妹を失い、その後自らにも死が迫っていることを知り、死への恐怖から生み出した作品である。
妹を看取った賢治は、押入れの布団の中に身を捻じ込んで三日三晩号泣したという。そして残り少ない時間を、妹の幻影と日蓮宗を心の支えに多くの作品を書き続ける。『アメニモマケズ、カゼニモマケズ』の最初と最後には、明確に「南無妙法蓮華経 南無妙法蓮華経」と記されている。孤独と死への恐怖と戦いながら生きた証を残した賢治。生前まったくといっていいほど評価されなかった作品が、賢治の死から80年を経て、今、悲しみのどん底にいる東北の人たちを励ましているわけだ。
時が有限であることを認識し、その限られた時間に何を果たすべきかを明確に描き、それを実現するんだという意思を継続させるための心の拠り所を手にすることで、私たちは心の引き出しからモチベーションを手繰り寄せる可能性が格段高まるはず。
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