肥満と栄養失調を生み続ける加工食品業界
★ポテトチップ・マーケティング方程式の恐怖
★製品の90%が以上を、顧客の10%に満たない人たちが買うという事実
★その熱烈な10%の顧客の殆どが、体重90kg以上、年収300万未満
★病的な肥満は、社会上・経済上の可能性を根こそぎ奪ってしまう
大手食品企業や外食企業には、購入者心理や人口学に研究するズバ抜けて優秀な社員が何人かいる。彼らは新商品を開発・発売する際、常にマーケティングに関する偉大な不文律に従うのである。
つまり、同じ商品を売るならば、新規顧客に売るよりも、既存顧客に売る方がはるかに簡単である、という法則である。言い換えれば、ポテトチップを一度も食べたことのない新規顧客に、目新しいポテトチップを一袋買ってもらうより、常連客にまとめて買ってもらう方が簡単で効率的、ということである。
ハンバーガー、フライドチキン、ドーナツ、カップラーメン、スナック菓子等の販売は、業界で「ポテトチップ・マーケティング方程式」と呼ばれる基本法則に基づいてなされている。この法則によれば、ある商品の90%以上は、顧客の10%に満たない人たちが買う。
そして、加工食品やファストフードの場合、その熱烈な10%に入る顧客の殆どは、体重90kg以上で、年収300万円未満の人々であり、過体重の顧客をターゲットにすると特に利益が上がるのは、そうした哀れむべき人たちが、大抵一度に標準体重者の数倍の量を食べるからである。
欧米先進国では、肥満と不健康が及ぼす影響が、もはや外見だけにとどまらない。かつては家名や家柄、人種や性別による差別社会があったように、いまや個人の体重や外見による新しい差別が定着しているのだ。
米国では肥満の人々の多くが経済の底辺にいる人たちであり、肥満が仕事や人間関係をも狭めてしまう構図が既に出来上がっているのである。そして、多くの社会システム同様、米国で起きた現象は、まちがいなく数年遅れて日本でも起こるということを理解しておく必要がある。