医者のコミュニケーション戦略

病は気から…。

生活習慣病は医学では治せない。この事実を私たちは改めて認識したい。
血糖値が高い人がいる。これを薬でコントロールしたところで意味はない。
日常的に薬を手放せなくなり、次第に薬の量と種類が増えていく。
仮に血糖値が多少改善されたとしても、長きに渡って体内に取り込まれた化学物質は悪さを起こす。それはさまざまな体調異変となり、私たちが生来持っている免疫力や自然治癒力を損なってしまう。

安直に薬を処方する医者とは適切な距離感を保つ必要がある。
血糖値が上がってしまった原因は何なのか。
夜間の暴飲暴食に思い当たったとしよう。
「暴飲暴食を控えよ」とアドバイスして終わる医者では物足りない。
なぜそうした行動をとってしまうのか。
その背景にある生活スタイルを見つめなおすような促しが求められる。

患者の生活実態を聞きとろうとすると、必然的にコミュニケーションが深まる。
患者は話を聴いてもらうことで、抱えている苦痛やストレスから解放される。
そして何よりも、親身になってくれる医者を好きになる。
信頼が芽吹くのだ。こんな地域医療が理想である。
そう。医者は、自分自身や家族に対して行っている医療を、地域のみんなにも実践すべきなのだ。

ああ、それなのに…。

医者は地域の人たちから好かれるように振る舞うべきだ。
初めのうちは、そんなキャラを演じればいい。
患者を人とも思っていないような言動をしている医者がいる。
それでは、薬という対症療法で一時ごまかせたとしても、肝心要の患者のこころを痛めてしまう。
だからすぐに数値が芳しくなくなってしまう・・・。
多くの診察室で、こんなことが繰り返し行われている。
悲しいことだ。

病は気から、である。患者が気持ちよくなれるような言動を意識的にして欲しい。
そうするとどうなるか。
症状が快方に向かうだけではない。
患者は医者を信頼し、どんな提案でも受け入れてくれるようになる。
これこそが、国民皆保険の呪縛から脱却し、自由で真に価値のある経営を実現するための鍵なのだ。

打てば響く医者に、ひとりでも多く出会いたい…。
2012年の希望である。


NPO法人 二十四の瞳
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