医療や介護の現場でイヤな思いをしないために

こんにちは。 “ジャムおじさん” こと山崎宏です。
 
私どもNPO二十四の瞳(正式名称:市民のための医療と福祉の情報公開を推進する会)では、病医院でイヤな目に遭ったシニア等からさまざまな相談を収集し、患者サイドに立って病医院との折衝に当たっています。
 
昨今は、病医院側にも『医療もサービス業』という認識がだいぶ浸透してきたとは言え、まだまだ表層的だと受け止めざるを得ません。
 
シニアの相談を受けていると、医療福祉の現場で利用者側が被っている不利益には、依然としてかなりのものがあるのだなぁと実感します。例えば、直近3ヶ月の相談例には以下のようなものがありました。
 
●定期健診で血圧が高いと指摘され、それ以来3年以上にわたり、降圧剤をはじめ7種類の薬を飲まされている。「毎日こんなにたくさんの薬を飲まなきゃダメですか?」と聞いたら、『飲まなきゃ死ぬぞ』と脅された・・・
●早期がんが発見され、できれば手術は避けたいと言った途端、医者に叱責され、「言うことを聞かないと死んじゃうぞ」と脅された・・・
●勇気を出してカルテの写しを要求したら、医者が顔色を変え、「あなたは何か勘違いをしている。病気を真剣に治す気がないのか」と怒鳴られた・・・
●診察室の中待ちで、男性患者が横にいるにもかかわらず、衣類を脱ぐよう看護師に強制された・・・
●「夜間でも医療サポートは万全」と謳われている施設の筈が、当直職員がただ救急車を呼んでくれただけ・・・
●救急車を呼んだのに、どこの病院にも受け入れてもらえず、散々たらい回しにされた・・・
●「地域連携」を掲げる病院から、一方的に退院を通告され、転院先を探せと言われた・・・
●医者会に聞いても保健所に聞いても、どの診療所なら往診してくれるかが判らない・・・
 
こんな信じられない光景が、今も全国で頻発しているのです。そして多くの場合、もっとも不利益を被るのが高齢者です。わが国の医療や福祉のシステムや医療における患者の権利について『知っているか、知らないか』。たったそれだけの違いで、夜も眠れないくらい苦悩している高齢者がたくさん存在しているのです。医療を取り上げるテレビ番組が増えたとは言うものの、そこで得たノウハウを実際に行使できる患者はほんのひと握りに過ぎないのです。
 
 「医者が変わるだけじゃダメ。患者も変わらないと・・・」とはよく聞くところですが、具体的に患者が変われるお膳立てが見当たりません。変わるための場や機会がありません。だから私どもが微力ながら活動することにしたわけです。
 
しかしながら、医療福祉の世界は政治が絡みます。それだけに一朝一夕で浸透するものではないと思います。理想論だとして片付ける医療関係者もいます。しかし、だからと言って何もしないというわけにはいきません。
 
老親を抱える長男として、そして社会福祉士として。少なくとも、わが子たちが高齢者になる頃には、必要なときに、必要なサービスを、必要なだけ、円滑に確保できるような医療福祉を実現したいものです。その日に向けて、初めの一歩を私は踏み出すことにしたのです。
 
そしてまずは、患者側が医療福祉の現場で嫌な思いをしなくて済むように、必要な知識や情報を提供していくことを考えました。患者側の聞き取り調査結果に基づき、各地域の病医院や個々の医師、さらには高齢者施設等へのインタビューに取り組んでいます。
 
その過程で、医療改革による診療報酬マイナス改定下で生き残るためには、利用者に対するサービスマインドが不可欠という現実を、医療福祉関係者と少しずつではありますが、コンセンサスが取れてきたように感じているこのごろです。

次回からは、私どもの会員のみなさまから寄せられた、具体的な相談事例をご紹介していきますね。


NPO法人 二十四の瞳
医療、介護、福祉のことを社会福祉士に相談できるNPO「二十四の瞳」
(正式名称:市民のための医療と福祉の情報公開を推進する会)
お問い合わせ 042-338-1882