PRMの前段階としてのPPP

 もう数十年も前の話になりますが、「違いのわかる男」というコーヒーのテレビCMがありました。流通サービス業をはじめとする一般企業においては、競合商品間、または競合会社間で、いかに違いを打ち出して、自分の方に優位性があるのかということを訴求するアプローチが定石となっています。このように、『商品間のあるいは会社間の違いを明確にして他と差別化すること』をポジショニングといいます。

 
このポジショニングという概念は、マーケティング理論の教科書を開けるとイの一番に紹介されているものですが、過去5年間にわたり医療や福祉の世界で活動してきた経験則からすると、99%の経営者が地域での自院のポジションを認識していません。と言うよりも、考えたことすらないというのが実際のところだと思います。厳しい言い方をすれば、わが国の医療機関がいかに市場原理から保護されてきたかということの裏返しでもあります。
 
しかし、そんな都合の良い時代もいよいよ終焉を迎え、都市部を中心に飽和状態にある医療機関が、地域での生き残りを賭けてしのぎを削りあう時代が訪れたのです。情報武装した患者たちに選ばれる医療機関となるために、まず手始めに実践すべきこと。それこそが自院のポジショニングなのです。

これはなにも一般産業の世界のみの専売特許ではありません。医療福祉ビジネスの世界でも、これからの時代には積極的に取り入れていくべき概念であり、他に先んじてこれを実践した医療機関が市場の勝者となる確率はかなり高まることは疑う余地がありません。


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