ホスピタリティマインドよ、何処へ?


こんにちは、アンクル・ジャムです。
病医院のホスピタリティについて書いてきましたが、今回が最終回です。

さて、この、もっとも骨のかかるテーマを、日常の診療活動をこなしながらいかに実践していけばいいのか。

いま、医者と患者の信頼関係が危ぶまれています。 例えば、新患がリピート受診をする・しないは、診察前の段階で8割は決まっているのです。つまり、いくら腕のいい、人格ある医師が診察室の向こう側に控えていても、患者さんがそこに辿り着くまでに接触する他の職員がマイナス印象を与えてしまえば、その患者さんは二度とやってこない確率が非常に高いということです。

 
しかしながら、ひとの教育というのは経営者にとって出口のない迷路のようなもの。効果的な方法があれば、喉から手が出るほど欲しいといったところではないでしょうか。
この難題に対する解決策として、私は、リッツカールトンホテルの職員が受けている接遇改善研修を一部、医療機関向けにアレンジしてお届けしてきました。同ホテルの「顧客を心地よくさせる接遇」は、凄いのひと言です。

ご関心のある病医院経営者にも、これを是非とも手にとってほしいものです。おそらく私の知っている限りでは、もっとも短期集中で職員の意識に変化の兆しが表われる方法だと思います。騙されたと思って試してみて下さい。そして、トップが忙しくて、どうにも自らイニシアティブが取れないということであれば、どうぞお気軽にご一報下さい。オンサイトでご指導させていただいております。

『リッツ・カールトン流 接遇ブラッシュアップ研修のしおり』 欲しい方は、下記までどうぞ。

 npo24no1103@ttv.ne.jp まで、『リッツの資料希望』と書いて送信下さい・・・。


多くの経営者の方々が関心を持ちながらも、空メールを送るというわずかな労力を惜しむなか、ささやかではあるけれど極めて重要な初めの一歩を踏み出された貴殿に敬意を表します。そして、小生と貴院のあいだに、近い将来なにかしらの接点が生まれますことを心より希望してペンを置きたいと思います。

今こそ変わるとき

こんにちは、アンクル・ジャムです。
病医院のホスピタリティについてお話してきました。

病院では、これまで権威主義だけが精彩を放ってきた。医師というのは、周囲の人たちから尊敬を受け、非常に高い社会的地位を得てきた。世間と比べれば、相対的に報酬も高い。しかし、彼らの目から見れば、患者というのは痛みや苦しみから救われることを求める哀れな人間にしか見えない。看護師をはじめとする他の職員たちも、医師と同様の感覚で患者に接しているのではないか。

患者に対する気配り、思いやり、温かい対応について、もう一度ホスピタリティの原点に立ち返って考えて欲しい。医師と患者の心の通ったコミュニケーション、看護師の患者に対する博愛精神を持った対応、受付の懇切丁寧な立ち振る舞い、ヒューマンタッチな病院施設の拡充・・・。これらに努めれば、患者からも感謝され、職員も勇気づけられ、病院再生の格好の機会となるだろうに。

最近では、これらの条件を満たしているところも少なくない。が、これだけではホスピタリティ・ビジネスとしては不十分だ。患者の症状というのは十人十色で一人ひとり異なるし、体質も異なる。患者個々に異なる対応が求められる。つまり、One-to-oneの関係において患者と接しなければならないのだ。これこそがホスピタリティの本質であり、病院にとっては、個々の患者を真剣に丁重に治療することがもっとも基本的なミッションに他ならない。

残念ながら、殆どの病院では、患者自身のことよりも施設内の患者処理システムの方を重視している。システムによる効率化に熱心な余り、人間的な接触をできるだけ避けようとしているようにすら感じてしまうことがある。その方がコスト削減には効果的だと言い切る経営者さえいる。どうも、ミスの減少とコスト削減の一挙両得だと錯覚しているようだが、とんでもない誤解である。そんな考え方が医療ミスの原因になっていると言っても過言ではない。

システムやテクノロジーを動かすのは人間である。病院の職員である。思いやりのある病院というのは、単に職員をロボット化することではなかろう。患者に満足のいくサービスを提供するには、医師を含めた職員全体の意識改革をすることが必要だ。患者がその医療機関をいかに評価するかは、患者が職員と接触する「真実の瞬間」によって決まるのだ。そのためには、患者に対するホスピタリティ・マインドを全職員に徹底していかねばならない。

病院のルーツはホスピタリティ


こんにちは、アンクル・ジャムです。
ホスピタリティの話を続けます。

話を医療機関に戻そう。“止まらない医療ミス”は、衝撃というよりも恐怖である。病院のことを英語でホスピタル(hospital)とかホスピス(hospice)という。本来、ホスピタルやホスピスはホスピタリティとルーツは同じである。治療に訪れる患者を優しく治癒することが目的であり、病院というところは、患者や外来者に対して親切に厚遇すべき場所の筈である。ところが、昨今の大学病院や公的病院で発生する注射ミスや手術ミスなどは、信じられないニュースとしか言いようがない。


そもそも大病院に患者が集中する理由は、一般の開業医よりも、医師の知識や経験、カバーし得る領域、検査機器等の設備など、あらゆる点で自分の病気を正しく診てもらえる確率が高い、そんな患者の信頼の表われである。それなのに、そうした大病院に限って医療ミスが続発しているのだ。「人間のやることだから」では済まされない人為的ミスであり、まさに人災という以外に言葉が見つからない。こうした事件が発覚するたびに、当該病院の医師たちは記者会見をして陳謝している。しかし、病院で働く医師、看護師、その他の職員たちは、果たして自分たちがホスピタリティ・ビジネスに従事しているということをどの程度自覚しているだろうか。

病院では、患者は問診票を書かされ、さまざまな質問をぶつけられる。医師や看護師の前で裸にされたり、寝かされたり、彼らの思うように奴隷のごとく服従を迫られる。そして、十分な説明もないままに注射され痛い目に遭わされる。入院患者の場合はもっとひどい。見舞い客の訪問時間も制限され、完全看護ならぬ囚人扱いである。そこにはプライバシーもなく、食欲のわかない最低限度の食事しかあてがわれない。まるでトイレと最低限の食物を与えられた拘置所の囚人と何ら変わらないではないか。医師や看護師たちは、ホスピタリティという言葉を知っているのだろうか。


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